インダストリー4.0導入に向けた診断ツールとは
総生産額2.9兆円増加、雇用を2万2千人創出する可能性

2018/Jan/25
インダストリー4.0導入に向けた診断ツールとは 総生産額2.9兆円増加、雇用を2万2千人創出する可能性

次なる産業革命として注目されるインダストリー4.0。IoTやビッグデータ、AIなどによるデジタル化と、ロボティクスのような自動化によって、企業は生産性や効率性を高め、企業競争力を強化することができる。インダストリー4.0の力は、規模や業種に関係なく、すべての企業に恩恵を与えることになるだろう。しかし、その一方で、各企業がインダストリー4.0を導入するにあたっては、業種や規模によって段階や方法が大きく異なるのが現状である。そのような中、新たにシンガポール経済開発庁(EDB)はTÜV SÜDと共に、企業がインダストリー4.0を導入するのを支援する診断ツールを新たに立ち上げた。

企業がインダストリー4.0を導入するための診断ツール
EDBが発表したインダストリー4.0を導入するための「シンガポール スマートインダストリー準備指標」は、規模(例えば、多国籍企業や中規模企業 )や産業に関係なく、すべての企業にとって包括的なツールとなるよう設計されている。この指標は、検査や認定、トレーニングを行うドイツの世界的企業TÜV SÜDとのパートナーシップのもと作られたものだ。16の次元にわたる評価マトリクスが提供され、企業はプロセスやシステム、構造を評価するのに使用することができる。この指標では、インダストリー4.0は、3つの主要な要素から構成されている。第一がテクノロジーだ。テクノロジーの分野は、“オートメーション”、“コネクティビティ”、“インテリジェンス”の3つの柱から構成される。インダストリー4.0が導入されたスマート工場では、ロボットや3Dプリンタを生かすような自動化製造が主流となる。そして自動化された工場では、工場内にある全ての機械や人がネットワークで“コネクト”され、全ての情報がビッグデータとして一元管理されることになる。そして、収集されたビッグデータをもとに解析され、各製造工程が最適化(インテリジェント化)され生産性が進化していく。第二の要素がプロセスだ。高度に自動化され、AIとIoTによって管理されるインダストリー4.0の工場では、原料調達から生産、市場への製品投入といった一連の企業活動のプロセスが大きく異なることになる。この第二の分野では、それに応じたプロセス改革の在り方を“オペレーション”、“サプライチェーン”、“プロダクトライフサイクル”の3つの柱に分けて示している。そして第三の分野が組織だ。インダストリー4.0では、人材と、組織の在り方もそれに対応したあり方が求められる。具体的には“組織構造とマネジメント”、“人材の準備”など、が必要となる。


図:16の評価指標ディメンション

企業ごとに導入を最適化するフレームワークも提供
この指標は、各企業が自社の現状を知り、インダストリー4.0へ移行していくための具体的な指針となるフレームワークも提供している。このフレームワークは、学習、評価、設計、実行の4つのステップで構成されている。学習段階では、インダストリー4.0に対する理解を深め、ビジネスユニットやパートナー間との共通の理解を構築する。第二段階では、自社の現状を評価する。ここでは、16の指標に則って、自社の現在のプロセスやシステム、組織構造が検証され評価される。第三段階では、インダストリー4.0化のための包括的な移行を設計し、第四段階では、実現と継続的な改善へのアプローチが実行される。


図:シンガポール製造業へのインダストリー4.0の影響

2024年に総生産額を2.9兆円増加、雇用を2万2千人創出
業種や規模、特性やスタート地点にかかわらず、すべての企業がこの指標を利用してインダストリー 4.0の恩恵を受けることができる。シンガポールには航空宇宙、半導体、化学、製薬業界、医療などを含む幅広い業種のメーカーがグローバル拠点を設けているが、ボストンコンサルティンググループの調査によると、インダストリー4.0を導入することで、2024年までにシンガポールの総生産額は約360憶シンガポールドル(約2.9兆円)増加し、2万2千人の雇用を創出すると言われている。この次世代製造技術導入のためのサポートエコシステムの指針が加わることによって、シンガポールは、まさに企業がインダストリー4.0の戦略を計画し実行するための最良な場所であり、更なるグローバル製造拠点としての地位を構築してくれるだろう。