その数は今や500社以上に上る。そんな画期的なサービスで成長するViSenzeだが、シンガポール国立大学と清華大学の研究機関NExTからスピンオフする形で立ち上げられた企業だ。そして2015年にはシンガポールで最も有望なスタートアップ企業として注目を集め、更なる拡大と成長を行おうとしている。
シンガポールを拠点に世界500社に導入された理由
ViSenzeの画像解析サービスは3つの種類に分類される。エンタープライズサービス、ビジュアル検索プラットフォーム、コンピュータービジョンのディープラーニングプラットフォームだ。そしてこれらはViSenzeによって運営されている100以上のグローバルショッピングサイトに導入され、すでに3億人以上のユーザーが画像解析サービスを体験している。この中で画像の処理数は2017年には5億件、さらに2018年第1四半期だけで既に5億件を超過した。これほどまでに利用が進むViSenzeのサービスと他社のサービスの違いは、AIによる画像分析の正確さと顧客それぞれのニーズに合わせて画像検索を適応できるカスタマイズ性である。
AIのディープ ラーニングで高精度な画像 分析を実現
ViSenzeの画像解析サービスが重宝される第一の理由が、高度な正確性だ。ViSenzeのAPIが導入されると、オンラインショッピングを利用する消費者は、探している商品の写真をサイトにアップロードするだけで、わずか数秒で類似商品を見つけることができる。その認識能力は実世界の物体を正確に認識し、スマートフォンのカメラなどで撮影した画像も瞬時に分析される。この高精度な分析能力は、ディープラーニングによって更に高精度に成長させることができる。ディープラーニングは機械学習の手法の一つで、人間が自然に行っているタスクを、コンピューターに学習させる手法のことだ。ネットワークに画像などの大量のデータを入力することでデータに含まれる特徴をAIが自動的に学習し、認識精度を飛躍的に高めることができる。その精度は場合によっては人間をも超える性能を示す。ViSenzeの画像解析サービスは、この独自に開発されたコンピュータービジョンとAIによるディープラーニングによって、Eコマースだけではなく、ストックフォトエージェンシーや、商標代理店など、さまざまな分野での利用が拡大している。
高い“カスタマイズ性”でユーザーのサービスに最適化
このAIによる正確性と共に、ViSenzeの画像解析サービスのもう一つの特長が、高い“カスタマイズ性”である。これがViSenzeと他の画像検索ツールとの主な違いであり、多くの企業で導入されている理由である。例えば、画像検索で有名なGoogleの画像検索機能は、一般的な検索機能になる。町でドレスを着て鞄を持っている女性の画像をアップロードしても、Google画像検索では、商品を特定した画像ではなく、街頭の写真を表示する可能性がある。このような汎用の検索アルゴリズムでは、必ずしもビジネスに特化した視覚的な検索機能を必要とするユーザーには、最適なパフォーマンスを発揮することができない。しかし、ViSenzeの検索エンジンでは、ユーザーの要件に合わせてカスタマイズして設計することが可能で、導入も簡単に行うことができる。例えば、ドメインに実装を行えば、プロダクトマネージャーやデータアナリストが簡単にモデルをトレーニングしたり、パフォーマンスをテストしたりすることができる。また、高度なアルゴリズムエンジニアはAPIを使用して、トレーニングやテストを直接行うことができる。いわば、ViSenzeのAIを、ユーザーの提供するサービスに合わせることで、解析と検索精度をより高めることができるのだ。