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ViSenze

スタートアップの拠点としてのシンガポール

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ViSenzeは、AIによる画像認識と画像検索を提供するシンガポールのスタートアップ企業だ。特許技術のコンピュータービジョンに加え、AIによるディープラーニングをベースに、高度な画像検索サービスをカスタマイズして導入することができる。既にユニクロやSears、H&Mといった世界的な小売りチェーンや、楽天、ASOS、アディダスといった主要なショッピングサイトもViSenzeの画像解析サービスを導入している。

2018/05/01

その数は今や500社以上に上る。そんな画期的なサービスで成長するViSenzeだが、シンガポール国立大学と清華大学の研究機関NExTからスピンオフする形で立ち上げられた企業だ。そして2015年にはシンガポールで最も有望なスタートアップ企業として注目を集め、更なる拡大と成長を行おうとしている。

 

シンガポールを拠点に世界500社に導入された理由

ViSenzeの画像解析サービスは3つの種類に分類される。エンタープライズサービス、ビジュアル検索プラットフォーム、コンピュータービジョンのディープラーニングプラットフォームだ。そしてこれらはViSenzeによって運営されている100以上のグローバルショッピングサイトに導入され、すでに3億人以上のユーザーが画像解析サービスを体験している。この中で画像の処理数は2017年には5億件、さらに2018年第1四半期だけで既に5億件を超過した。これほどまでに利用が進むViSenzeのサービスと他社のサービスの違いは、AIによる画像分析の正確さと顧客それぞれのニーズに合わせて画像検索を適応できるカスタマイズ性である。

 

AIのディープ ラーニングで高精度な画像 分析を実現

ViSenzeの画像解析サービスが重宝される第一の理由が、高度な正確性だ。ViSenzeのAPIが導入されると、オンラインショッピングを利用する消費者は、探している商品の写真をサイトにアップロードするだけで、わずか数秒で類似商品を見つけることができる。その認識能力は実世界の物体を正確に認識し、スマートフォンのカメラなどで撮影した画像も瞬時に分析される。この高精度な分析能力は、ディープラーニングによって更に高精度に成長させることができる。ディープラーニングは機械学習の手法の一つで、人間が自然に行っているタスクを、コンピューターに学習させる手法のことだ。ネットワークに画像などの大量のデータを入力することでデータに含まれる特徴をAIが自動的に学習し、認識精度を飛躍的に高めることができる。その精度は場合によっては人間をも超える性能を示す。ViSenzeの画像解析サービスは、この独自に開発されたコンピュータービジョンとAIによるディープラーニングによって、Eコマースだけではなく、ストックフォトエージェンシーや、商標代理店など、さまざまな分野での利用が拡大している。

 

高い“カスタマイズ性”でユーザーのサービスに最適化

このAIによる正確性と共に、ViSenzeの画像解析サービスのもう一つの特長が、高い“カスタマイズ性”である。これがViSenzeと他の画像検索ツールとの主な違いであり、多くの企業で導入されている理由である。例えば、画像検索で有名なGoogleの画像検索機能は、一般的な検索機能になる。町でドレスを着て鞄を持っている女性の画像をアップロードしても、Google画像検索では、商品を特定した画像ではなく、街頭の写真を表示する可能性がある。このような汎用の検索アルゴリズムでは、必ずしもビジネスに特化した視覚的な検索機能を必要とするユーザーには、最適なパフォーマンスを発揮することができない。しかし、ViSenzeの検索エンジンでは、ユーザーの要件に合わせてカスタマイズして設計することが可能で、導入も簡単に行うことができる。例えば、ドメインに実装を行えば、プロダクトマネージャーやデータアナリストが簡単にモデルをトレーニングしたり、パフォーマンスをテストしたりすることができる。また、高度なアルゴリズムエンジニアはAPIを使用して、トレーニングやテストを直接行うことができる。いわば、ViSenzeのAIを、ユーザーの提供するサービスに合わせることで、解析と検索精度をより高めることができるのだ。

シンガポールを選択した理由

ViSenzeは、現在、本社をシンガポールに、アメリカ、イギリス、中国にオフィスを設け、その本社では14の国籍の人材がワールドワイドにビジネスを展開している。また、サービスがアプリケーションソフトウェアといった性質上、グローバルに展開が可能で、特定の国にこだわる必要がない。しかし、なぜViSenzeはシンガポールを拠点にしているのだろうか。そこにはシンガポールで設立されたという理由以外に、さまざまな要因が存在する。

 

世界TOPクラスの人材でR&Dを強化

ViSenzeがシンガポールに拠点を設ける第一の理由が、世界のTOPクラスの人材を獲得できる点である。ViSenzeのようなAIを中心にしたITスタートアップにとって、R&D開発をいかに促進させるかがカギとなる。そのため優秀な研究員やエンジニアの確保は欠かすことができない。例えば、ViSenzeは、もともとシンガポール国立大学と中国清華大学の共同研究機関であるNExTからスピンオフする形で立ち上げられたが、その立ち上げには、NExTに集まる優秀なR&Dスタッフが多く参画している。ちなみにこの二つの大学は世界でもトップクラスに位置しており、アジア大学ランキングでもシンガポール国立大学が1位、清華大学は2位にランクインしている。特に人工知能とデータサイエンスの世界では、R&Dリソースが限られていることから、より優秀な人材が集まるシンガポールに拠点を設けることは、研究開発を促進するうえで大きなメリットをもたらす。

 

シンガポールのIP(知的財産)ハブを活かす

ViSenzeがシンガポールに拠点を設ける第二の理由が、シンガポールの持つIP(知的財産)ハブとしての役割である。シンガポールは現在、ASEANをはじめアジアの知的財産のハブとして機能しつつある。通常、知的財産権は属地主義といわれ、その国で取得した権利は、他国では通用しない。そのため、各国でそれぞれ知的財産権の登録を行わなければならない状況にある。一方、シンガポールのIP(知的財産)ハブは、知的財産権の管理や登録、紛争解決を行う拠点という3つの機能を担っており、シンガポールで登録し管理を行えば、その技術に関する特許などを他国で個別に登録を行うことなく、スピーディにビジネスを展開することができる。また、シンガポールから他の国のIP(知的財産)の登録が可能で、他国でビジネスを展開する場合に検査や登録に関してはるかにスピーディに効率的に行うことができる。特にViSenzeのようなAIテクノロジーといったアプリケーション開発型の企業にとっては、サービスの展開に国境は関係がなくIP(知的財産)ハブであるシンガポールで開発を行うメリットは大きい。

 

企業との豊富なコラボレーションでAIを高精度に

そして、ViSenzeがシンガポールに拠点を設ける第三の理由が、企業との豊富なコラボレーションの機会だ。特にViSenzeが開発するAIとデータサイエンスの分野では、ディープラーニングに大量の学習データが必要なため、さまざまなユースケースのデータを取得しなければならない。そのため多くの企業との協力関係は欠かすことができないものだ。例えば、ViSenzeの画像解析サービスも、NExTでの開発段階で、多くの企業で試験的に導入されそこで、さまざまな実証データを取得し解析精度を高められたということが大きい。このように、よりサービスの精度を向上させ、完成度の高い状態でビジネスを展開するためには、シンガポールの持つ豊富な企業ネットワークは欠かすことができない。

 

シンガポールのスタートアップを立ち上げ育てる仕組み

ViSenzeは、もともとシンガポール国立大学と中国清華大学の共同研究プロジェクトとして始まったものだ。この共同研究機関NExTの目的の一つが、研究開発からスピンオフを生み、育てることである。しかし、スタートアップをゼロから立ち上げ、育てることは容易ではない。スタートアップを立ち上げる際にはさまざまな課題が立ちはだかる。その第一が顧客獲得と収益化への道筋である。例えば、ViSenzeが企業としてサービスを開始する前には、AIの画像解析精度を高め、収益化できるまでの多くの実地検証が行われている。そこでは企業との豊富なネットワークによって開発された研究用プロトタイプを使い、データ収集やフィードバック収集、プロダクトの微調整などが行われる。またそれによって、プロダクトのクオリティを向上させるとともに、どのようにマネタイズするかというビジネスモデルも確立させることができる。そして第二の課題が人材だ。特に優秀な人材をどのように集めるかがカギとなる。ViSenzeの場合は、NExTを構成する世界トップクラスの二つの大学、南洋理工大学などとのネットワークから、早期に優秀なR&Dスタッフを集めることが可能となった。これにより研究開発力を強化し、プロダクトの質と幅をより高めることができる。最後に、スタートアップ立ち上げ時の最大の課題となるのが資金だ。一般的に多くのスタートアップが頭を悩ます部分が事業を軌道に乗せるまでの資金だが、ViSenzeは、NExTの持つ多くの企業やベンチャーキャピタルとの豊富なネットワークから、資金調達に成功している。これは世界トップクラスの大学からなる強力な研究開発基盤ならではのネットワークの力といえる。このViSenzeの立ち上げからわかる通り、シンガポールでは、研究開発を商用化まで育て上げ、スタートアップを生み出すためのエコシステムが整っていると言えるだろう。

 

グローバル市場への拡大と更なる画像解析サービスの開発

ViSenzeは、こうした取組から楽天やユニクロなどオンライン小売を中心に500社以上にサービスを展開しているが、今後もグローバル市場への展開を強めていく方向だ。とりわけEC市場が拡大している中国やアメリカ、日本などを対象に、画像解析サービスを展開していく。また、ViSenzeがビジネスの拡大と共に取り組むのが新たな分野への参入だ。それはオンラインだけではなく、小売業界全体を変革する更なるサービス開発ともいえよう。例えばDBS銀行や、マーケティングテクノロジー分野のスタートアップ企業支援を行うユニリーバ・ファウンドリーとのパートナーシップでは、O2Oやオムニチャネルの分野で、ViSenzeのAI画像解析サービスのユースケースに取り組んでいる。O2Oの購買活動への誘導やオムニチャネルでの顧客囲い込みの分野でも画像解析は大きな力を発揮しそうだ。更に、ViSenzeは小売業界以外の分野でも自社の画像解析サービスが利用できるとして、新たなユースケースの開発にも取り組んでいる。シンガポールを中心に世界に革新を与えるAIサービスがグローバル市場に打って出ようとしている。

Lessons from This Case Study

Point 1

シンガポールの優れたR&D人材を活かす

ViSenzeの前身であるNExTには、世界トップクラスの大学にランクインする2大大学、シンガポール国立大学と中国清華大学の優れた研究者とエンジニアが集まっている。ViSenzeはこうした優秀なR&D人材を集めることで、自社の研究開発部門を強化し、サービスの向上と新製品開発を行っている。

Point 2

シンガポールのIP(知的財産)ハブを活かす

ViSenzeは、シンガポールのIP(知的財産)ハブを活かすことで、他国への展開をよりスムーズにしている。シンガポールのIP(知的財産)ハブの機能は、シンガポールで特許などを登録し管理を行えば、他国で個別に登録を行うことなく保護され、ビジネスを行うことができる。

Point 3

シンガポールの企業ネットワークを活かす

ViSenzeのサービスのように、ディープラーニングを使ったAI開発では、さまざまなユースケースのデータの取得が必要である。シンガポールには、産業パートナーや研究機関との強力なネットワークを有するスタートアップのエコシステムがあり、産業パートナーとのコラボレーションにより、開発をスピーディに行うことが可能だ。それにより高精度なプロダクトを早期にリリースすることができる。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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