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PCMセクター育成で 産業の国際競争力維持に貢献

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製造業が国全体GDPの約20%を占めるシンガポールは、限られた土地・労働力という小国ゆえの課題を抱える中、労働者の生産性向上に成長の活路を見いだそうとしています。製造業の中でも最大セクターである化学・エネルギー産業も例外ではありません。

とくに近年はプロセス・建設・メンテナンス(PCM)分野における労働力不足によるコストの上昇や質の高いサービスの確保が課題とされてきました。「生産活動を支えるPCM産業の改善は、化学・エネルギー産業における国際競争力の維持・向上に直結する」として、官民一体となり課題解決に向けた取り組みがスタートしています。

PCMを取り巻くシンガポールの産業構造は、プラントオーナーである欧米や日系の化学・エネルギー関連会社が100社以上集積し、ヒャプセン・エンジニアリングやロータリー・エンジニアリング、PECといったPCMのティア1にあたる大手エンジニアリング会社が存在します。さらにサブコントラクターであるティア2~4までの中小エンジニアリング会社を含めると約400社以上がシンガポールでPCM産業に従事しています。

早くからPCMセクターの重要性に着目していたシンガポールは、2013年1月にシンガポール経済開発庁(EDB)や規格生産性改革庁(SPRING)といったシンガポール政府系機関と化学・エネルギーメーカー、エンジニアリング企業などが「プロセス・建設・メンテナンス管理委員会(PCMMC)」を設立しました。民間企業からは、シェルやエクソンモービル、シンガポール石油化学、住友化学、三井化学などが運営委員会に名を連ねています。

PCMMCはPCMセクターが抱える各課題を協議するため、複数のワークグループで構成されています。「ターンアラウンドスケジューリング」グループはその一例で、大規模なプラント定修時が重なる時など、特定の期間に労働力の需要が極度に集中することを避け、メンテナンスコストを抑制するシステムの構築を進めています。参加企業は自社のデータを提供する代わりに、全参加企業から集計したデータを閲覧でき、労働需要のピーク時を避けることで最適な定修時期の選定の参考にできるといいます。

また、「パフォーマンスメトリックス」グループでは、EDBが第三者機関を指名し、PCMセクターの生産性を示すベンチマークの策定を進めています。これにより、EDBがPCMセクターの生産性が一定レベルに維持されているかモニターするとともに、導入した各種の施策が効果的に機能しているか確認する狙いです。

人材育成も重要なテーマに位置づけており、労働力開発局(WDA)、労働省(MOM)、EDBといった政府系機関がPCMMCのワークグループと共同で課題解決に着手しました。PCMセクターの労働者を対象としたトレーニングや、技能の証明となる認証システムの開発を進めます。作業員の多能工化や、より上流のスキルの習得を促す狙いとなります。

そのほか、「マネジメントプラクティス」グループでは、プラントオーナーやコントラクターと共同で、PCM業者がより安全かつ効率的にプロジェクトを遂行するためのプラン策定システムの研究を実施しています。

また、2015年2月にはシンガポール化学工業協会(SCIC)、プロセス産業協会(ASPRI)、化学メーカー、PCM企業などが参加する「プロダクティビティ評議会」が発足しました。15年からの3年間、パートナー契約を締結した米国の建設業研究所(CII)とともに、課題の調査・研究を行う「センター・オブ・エクセレンス」を確立し、プラントオーナーおよびPCMセクターの双方において生産性の向上につなげます。具体的には、CIIの主導のもとでシンガポールにおいて3年間合計で15のパイロットプロジェクトを策定します。CIIが定めた生産性を計るベンチマークを導入して、生産性の改善に向けた共通の課題を研究・分析するプロジェクトで、プラントオーナーとコントラクターが同時に参加する初の試みとなります。

また、CIIのアドバイスのもと、コントラクターの生産性を証明する認証システムの確立を進めており、これも初の試みとなります。

その他、ASPRIと開発公社JTCはジュロン島近郊のジャランパパン地区に作業員向けの社員寮を提供します。主な作業場となるジュロン島への通勤時間を短縮化するとともに、通勤の疲労を軽減する狙いです。また、EDBとSPRINGはコントラクターにおける作業プロセスの改善を実現するため、機械化の導入を進めています。

また、個別企業単位でも様々な施策がスタートしています。PCMMCのメンバー企業でもあるロータリー・エンジニアリングでは、労働力不足を背景とした生産性の改善、人材育成といった課題解決に向けたイニシアチブをスタートしました。その一環としてシェルター式ガントリークレーンといった最新機器を用いた自動化を積極的に導入しています。同機器は悪天候にも影響されずに作業が可能となり、オペレーターの人数を最大で半数まで削減可能になるというものです。シンガポールではまだ導入が進んでおらず、他社に先駆けた最新機器の導入によって、生産性の向上につなげます。さらに、地場の大学や高等専門学校、業界団体といった各組織との連携を強化して潜在能力の高い人材確保を進めるほか、独自のトレーニングカリキュラムを設けて従業員の技術力向上を進めています。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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