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シンガポールにおけるインダストリー4.0

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さらなるデジタル化への旅 シンガポールがデジタル化について熱心に取り組むのには2つ理由があります。まず1つ目に、1965年の独立以来、製造業はシンガポール経済の中核を成してきました。

今日、製造業は国内総生産の約20%を占め、その水準を維持するよう取り組んでいます。またシンガポールは、エレクトロニクス、バイオメディカルサイエンス、エネルギー・化学品などの主要産業においてもグローバルなリーダーシップを発揮しています。

シンガポールでは多種多様な業界の数多くの企業が幅広く製造活動を行い、エコシステムでのサポートを受けられるため、シンガポールはアジアでの成長戦略を展開している企業にとって魅力的な投資先となっています。しかし、グローバル製造業はますます競争が激しく複雑になり、製造拠点ではコスト面だけでなく、複数分野における能力の深さに関しても競争が行われています。シンガポールは現状に満足することなく、製造業に根本的な変革をもたらすデジタル技術動向に適応し続ける必要があり、製造業の競争力を維持し、グローバルバリューチェーンにおける役割を深めることが特に重要になっています。

2つ目に、人材と土地が限られているシンガポールにとって、デジタル化はほぼ不可欠です。シンガポールは小国家で、高度な製造技術を使用しなければ、競争力の高い製造業を拡大させることはできません。資源に乏しいことが政府による自動化やデジタル化の推進を後押しし、その過程で質の高い雇用機会も創出されています。これが、シンガポールが他国よりも積極的に企業の事業変革を推進しているもう一つのデジタル化の理由です。

適切な枠組みの創出

2016年度シンガポール予算案の一環として、シンガポールは各産業を強化するために先進製造技術への投資を行っています。政府の2020年研究革新起業計画(RIE)のもと、32億SGD(2,560億円)を投じて先進製造業とエンジニアリング分野の研究を支援しています。

また未来経済委員会(CFE)と呼ばれる運営委員会は、今後のシンガポール経済戦略を検討しています。CFEは、産業用IoT、付加製造、ロボット工学などが含まれる先進製造分野を、ますます発展する重要な成長産業と位置づけています。

EDBは継続的な幅広い協議を通して企業のニーズを理解し、サポート可能な分野を特定しています。これにより、EDBは各業界がどのようなソリューションを必要としているかを把握し、アダプターやテクノロジー企業がソリューションを共同開発するために必要な環境を創出しているのです。

シンガポールから、明日へのソリューション

デジタル化の推進に伴い、これまでシンガポールは、エマソン、シーメンス、SAP、アクセンチュアなどの大手テクノロジー企業を誘致し最新の産業用IoTソリューションを開発することで、先進製造エコシステムを積極的に構築してきました。

過去2年間でシンガポールには主要なソリューションプロバイダーが多数集結し、地域本部やグローバル本部を設置しています。このことからも、企業がシンガポールを最新の先進製造機能の開発拠点として認識していることが分かります。

この取り組みの原動力となっているのは、先進技術を賢く活用することで、今日とは違う明日の製造方法を生み出すことができる信念です。そして、これにより先進製造はさらにエキサイティングなものになると信じています。

シンガポールにIoT拠点を構えるテクノロジー企業・ソリューション企業リスト

2017以降の拡大

しかしながら、ソリューション企業を誘致することは、単なる最初のステップに過ぎません。第2のステップはリード需要を生み出し、定着させることです。これまでMeiban、シェブロンオロナイト、住友化学、ドルマカバなどの企業をシンガポールに誘致し、多年にわたる下記先進製造プロジェクトを推進しています。

これらのプロジェクトはシンガポールの製造業を正しい方向に導く1つのステップです。心強いことに、早期にソリューションを導入した企業の中には、ディスクリート製造業とプロセス製造業の両方がバランス良く含まれています。この多様性により、両製造業間での相互共有や学習が可能であり、それぞれがニーズに最適な先進製造技術を選択することができます。

人材のデジタル化

シンガポールのデジタル化推進に不可欠な要素は人材です。と言うのも、工場が自動化されたとしても工場単独では機能できません。そのため、デジタル化を可能にする上で人材は非常に重要となります。また、たとえデータがあるとしても、プロセスを継続的に改善するためには、その分野の専門知識を持ち最適化する最善策を決定するのは人です。人材は適切な環境の中で適切な訓練を受ける必要があります。

例えば、南洋理工大学(NTU)や南洋理工学院(NP)などの教育機関では精密工学、ロボット工学、付加製造に特化したプログラムを提供し、シンガポール製造技術研究所SIMTech)と再製造(リマニュファクチャリング)技術開発センター(ARTC)は企業との共同研究を行っています。

今日インダストリー4.0の分野で長期的な成功を収めるためには、ソフトウェアの知識またはデータ分析に精通しているだけでは不十分です。また、近い将来、熟練したエンジニアであるというだけでは、もはや十分ではなくなるでしょう。分析スキル(ソフトウェア)と技術スキル(ハードウェア)の両方を備えている必要があります。

そのため、EDBは、ポリテクニック出身のシンガポール人がドイツの中小企業から奨学金を受け、ドイツで学位を取得することができる「デュアルスタディー」プログラムを開発しました。エンジニアとコンピューター科学者が連携して問題解決に取り組む製造現場でのみ、多くの専門知識を得られると考えています。このプログラムでは、学生は学問的知識を得られるだけでなく、実際に現場での経験を通して、現代世界における未来のエンジニアとしてどのような要件を満たす必要があるかを学ぶことができます。

 

革命ではなく、進化

シンガポールを、全ての製造業務が運用効率、生産性、製造プロセス改善の推進において最高水準である場所にすることが私たちのビジョンです。デジタル化は革命ではなく進化です。エンジニアリングとデジタルを融合させる道程なのです。

 

本記事は、2017年2月15日発行のProduct Innovation誌に掲載された内容を翻訳したものです。

リム・コックキアン(Lim Kok Kiang)氏は、シンガポール経済開発庁(EDB)エンジニアリング部門担当の副次官です。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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