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アジアにおける持続可能な水供給の実現

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水は間違いなく世界でもっとも重要な資源です。しかし、地球の表面積の約70パーセントを水が覆っているにも関わらず、世界全体に行きわたるだけの十分な水がありません。地球上のわずか3パーセントの水だけが清潔で飲料水に適している水なのです。世界保健機関(WHO)によると、浄化された飲料水を利用できない人は、2015年に6億6,300万人に上りました。また、WHOは2025年までに世界人口の半数の居住地域が水不足に直面すると予想しています。

水不足の問題はアジアにおいてより深刻で、グローバルなNPO団体アジア・ソサエティによると、アジア地域の年間一人当たり水資源量はわずか3,920立方メートルで、南極を除く世界中のどの大陸より大きく下回っています。このことからも、アジア諸国は水不足の問題に根本的に取り組み解決する必要があります。

世界で最も水不足に悩まされてきた国の一つであるシンガポールは、数十年の計画やイノベーションを経て、現在では水研究の世界的リーダーとなりました。今日、シンガポールは持続可能な国内供給を確立し、さらには最新の浄水技術を海外へ輸出しています。

過去数十年間にわたり、シンガポール政府は水分野の研究開発に注力し財政支援を行ってきました。これが大きな要因の一つとなり、国内外の水事業会社は健全な成長を遂げ、2015年現在、シンガポールには200社近い水事業会社と26の民間研究センターがあります。

これらの研究施設の1つが南洋環境・水研究所(NEWRI)です。2008年の設立以来、同研究所は研究結果を最先端技術に転換させ、国内浄水産業の発展において中心的役割を果たしてきました。シンガポール国立研究財団、シンガポール経済開発庁、環境・水産業開発協議会を初めとする多くの機関がNEWRIに資金提供を行っています。

またNEWRIは設立以来、セムコープ(Sembcorp)や東レなどの大手企業とのパートナーシップを確立し、ベトナムのハイフォンでは、ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)と研究・教育関連での共同研究を行っています。

近い将来に水不足の脅威が迫りくる中、研究開発では商業的に実行可能な水ソリューションへの変換が不可欠であり、ここ数年にわたり多数の水事業会社と政府機関との共同開発にてそのような取り組みが行われています。

シンガポールの水事業会社ハイフラックスは、2005年9月にシンガポール初の海水淡水化施設となるシングスプリング淡水化プラントを建設し、水イノベーションのパイオニアとして広く認知されています。シンガポールの水需要の約10%に対応している同プラントは、世界で初めて膜技術も使用しました。

シンガポールで最もよく知られているもう一つの水プロジェクトがNEWaterです。2000年に最初のNEWaterプラントを設立し、精密ろ過、逆浸透、紫外線殺菌技術を使用して排水処理を行い、飲料水を製造しています。専門家は、2060年までにシンガポールの水需要の55%がNEWaterによって満たされると期待しています。

さらにシンガポール東部には、最先端技術を有する世界最大級の水再生プラントであるチャンギ水再生プラントがあります。同プラントは1日当たり1億7,600万ガロンの水を処理でき、処理された水は海に放出されるか、飲料水に加工するためNEWater施設に送られています。

6月初旬、水供給の自給自足を達成しているとして、シンガポール環境・水資源省のマサゴス・ズルキフリ(Masagos Zulkifli)大臣がブルームバーグにて紹介されました。しかしそれにもかかわらず、シンガポール政府は、今後5年間で水産業に2億SGD(160億円)を投資し、先手を打ち続けます。

アジア内外への水ソリューションの輸出

自給自足にとどまらず、シンガポールは今後、アジアそして世界に向けて水ソリューションの開発と輸出を行う予定です。

グローバル・ウォーター・インテリジェンスによると、シンガポールは、「世界のターゲット地域向けにソリューションを開発することにより、グローバルに水産業にて成長する」ことを目指し、これには膜、淡水化、センサー技術といった分野も含まれます。

既に複数の新開発が進行し、その一例として、6月に分離技術応用研究転換(START)センターがシンガポールに設立されました。アジア太平洋地域にてこの種では初めてとなるSTARTは、膜分離技術に関する研究成果を商品化し、この特定分野における企業の投資リスクを削減することを目指しています。

シンガポール公益事業庁(PUB)は、国による技術の商業化と輸出のさらなる促進に伴い、今後政府は水産業の雇用拡大を目指すだろうと述べました。また、2004年の3億4,000万SGD(272億円)と比較し、シンガポール企業は2015年に合計10億SGD(800億円)に上る7件の海外プロジェクトを受注したことも7月に示しています。

PUBのチーフエグゼクティブ、ウン・ジュヒ(Ng Joo Hee)氏はシンガポールの高い水研究能力を高く評価し、最近のインタビューにて「シンガポールは今では水研究のシリコンバレーとなっていますが、最初はゼロからの出発でした。研究への投資を続け能力を積み重ねることにより、今日、シンガポールは水に関する最先端研究が行われている世界でも数少ない場所となっています」と語りました。

アジアの水問題解決における様々な可能性

他のアジア諸国でも水不足への対応は最優先課題となっています。例えば中国は淡水化プラントにてイスラエルの水技術を活用し、北部地域の水不足の問題に取り組んでいます。

台湾では昨年、排水リサイクルに関する歴史的法案「再生水資源発展条例」が可決され、2016年から2021年までに約150億NTD(546億円)を投じて水リサイクルプラント6基を建設予定です。

世界的に水供給が徐々に枯渇する一方、水技術企業のビジネス状況は全く異なります。グローバル・ウォーター・インテリジェンスは、今年、世界の水産業は8,500億USD(93兆5,000億円)以上の価値があると予測し、2020年まで毎年4%の割合で成長することが期待されます。

水技術分野における専門知識と研究開発を促進できる環境が整備されているシンガポールは、高まる水技術の波に乗る上で世界で最も理想的な場所の一つであることは間違いありません。

出典:シンガポール経済開発庁(EDB)フューチャー・レディ・シンガポール

1シンガポールドル(SGD)=80円、1米ドル(USD)=110円、1台湾ドル(NTD)=3.64円(8月22日現在)

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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