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シンガポール半導体セミナー2019が開催 AI、IoT時代を実現するキー産業の未来

EVENT REPORT

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20年で驚くべき成長を遂げたシンガポールのエレクトロニクス産業。その四分の三を占めるのが半導体産業だ。そしてシンガポールの半導体産業は、AIやIoT、自動運転技術といった新たなテクノロジーの登場によって更に成長を遂げようとしている。今回はシンガポールの半導体産業の最新状況を5月15日開催の「シンガポール半導体セミナー2019」からご紹介しよう。

シンガポールの半導体産業 世界の2倍以上の成長率を誇る

はじめにシンガポール経済開発庁(EDB)の半導体産業局長ピー・ベンコン(PEE Beng Kong)氏から、シンガポールの半導体産業の概況と、今後の成長戦略が発表された。シンガポールのエレクトロニクス産業は、この20年で2倍の規模に成長を遂げている。年間生産高は963億ドルに上り、200社を超える企業が活動している。その成長の背景には、「高付加価値の半導体製造に転換してきた」ことが大きいとピー局長は語っている。
「もともとシンガポールは世界のハードディスクドライブのアッセンブリハブとして知られていました。その後、時代の変遷とともに高付加価値製品の組立にシフトし、現在は200社以上のエレクトロニクス企業がシンガポールに進出しています」。
これによりシンガポールのエレクトロニクス産業は、世界の年平均成長率4.8%に比べ、倍近い8.6%に上っている(1996~2016年)。また、2017年は48.7%、2018年は17.3%の成長率を誇っている。

成長を牽引する包括的エコシステムと豊富な人材

こうした成長の背景には、シンガポールの半導体産業を取り巻くエコシステムの存在が大きい。第一に、半導体製造を担う包括的なエンドツーエンドのシステムが整っている。
「シンガポールはこれまで包括的なセミコンのエコシステムを作ってきました。IC設計センターは30カ所以上、ウエハー製造では18カ所、更には組立・テスト工場は12カ所を備えています。2018年には半導体装置の生産高も154億ドルに上ります」。
そこでは、設計から試作、テスト、製造、組立まで一貫して半導体製造を行うことができる。また、こうした包括的なエコシステムを担っている存在がシンガポールの豊富な人材だ。
「シンガポールの大学では卒業生の約4割がサイエンスエンジニアリングを専攻しています。また、シンガポールの産業奨学金では、政府と企業が奨学金を出し、在学中に6カ月インターンとして企業で働き、卒業後にはその企業で働くという制度を整えています」。

 

次なる成長戦略。イノベーションハブへの道

シンガポールでは、半導体産業の次なる成長戦略として、新たな領域へ進化を遂げようとしている。それが、AIやIoTなどデジタルテクノロジーを使ったイノベーションハブとしての存在だ。具体的には自動運転などによる都市モビリティや、次世代製造技術によるスマート工場の実現、ヘルスケアやセキュリティなどの分野である。
「私たちは、更なる半導体産業の成長を実現するため、AIやロボティクス、IoTなどによる先進的なイノベーションのハブ化を進めています。例えば、都市モビリティでは各自治体、10社以上の企業、南洋理工大学(NTU)と連携し10以上の開発に取り組んでいます。また次世代製造技術ではスマート工場へ移行するためのプラットフォームの提供や、デジタルスキルの教育など、インダストリー4.0の実現に向けた取組が始まっています。更にAIの開発では1億1千万ドルの資金を投じた5カ年国家プログラムが動き始めています」。
半導体はこうした急速に成長する産業を支える中核技術として、更なる成長が見込まれる。

エコシステムパートナーも登壇 マイクロン・テクノロジー

本セミナーでは、シンガポールの半導体製造のキープレイヤーであるマイクロンのグローバル調達部門ディレクター、デニス・ウン(Dennis Ng)氏も発表を行った。マイクロンは世界第4位の半導体会社で、中でもシンガポールはR&Dと生産機能を持つグローバル展開の最重要拠点だ。更に、マイクロンは、NAND型フラッシュメモリの開発と生産のため、ファブ10Aの拡張を行っており、完了すればマイクロンはシンガポールで最大の単独外資企業になる。
また、マイクロンは、シンガポールにおいて100社以上の材料サプライヤーに300社以上の設備・装置サプライヤー、また250社以上の間接的サプライヤーとのネットワークを持ち、半導体製造のための大規模なエコシステムを持っている。
その先進的な製造設備では、AIとビッグデータが活用され、生産の効率化、改善活動が自動で行われる。ウン氏によると「オペレーターが24時間監視できるリモートオペレーションセンターの確立をめざす」という。
また、シンガポールは人材戦略の拠点でもある。「シンガポールでは、南洋理工大学(NTU)やシンガポール国立大学(NUS)などエンジニアリングの分野で世界トップレベルの人材を確保することができます。また、シンガポール科学技術研究庁の下で構築された14の研究機関とのネットワークを持ち、2,500人を超える研究者と3,400件の特許にアクセスができるのです」。

 

デジタル化と自動化を実現させるキー産業に

シンガポールのエレクトロニクス産業はこれまで、時代の先を読み変化にいち早く対応することで世界水準を上回る成長を遂げてきた。その背景には、製造と開発を担う包括的なエコシステムと優れた人材の存在が大きい。そして今エレクトロニクスの中核となった半導体産業は、デジタル化と自動化を実現させるキー産業として更なる発展を遂げていくだろう。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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