藤代氏は、日本酒を広めるにあたり、国際利酒師、日本酒学講師として日本酒ナビゲーターコースの開催や利き酒会などさまざまな活動を行っている。因みに国際利酒師とは「各国の消費者の嗜好、市場実態、文化、風習などに合わせた日本酒の楽しみ方を伝えるスペシャリスト」(国際利酒師ホームページ)とのことだ。藤代氏は「日本酒の原材料・歴史・製造方法・文化などを通じて日本酒を楽しめるように、また、ワインのように身近な飲み物になるようにするために日々活動しています」と語ってくれた。
特に日本酒の背景にある文化的な部分を共有することで、現地の人々と多くのつながりができたという。「主に日本酒のビギナーに向けてお話をさせていただくことが多いのですが、お酒を飲むことを通じて人と人が繋がっていくことが大きいです。特にシンガポールはコスモポリタンであり、多くの国の人々が集まることから、日本酒と日本文化を世界中に広げられる可能性があります。微力ながらその力になれることを大変光栄に思います。」
その一方で、まだシンガポールで知られていない日本文化も数多く存在するという。「和食や日本酒が知られている一方で、和紙や漆など、日本の伝統工芸などはあまり知られていません」。藤代氏は日本酒をシンガポールで広める一方で、IPPINブランドと連携して、日本の中小企業が東南アジアに進出するのを支援している。IPPINでは前述の和紙や漆などの工芸品にはじまり、調味料や製菓、日本茶など幅広い日本製品の市場参入と製品プロモーション活動を担っている。日本各地の自治体と提携し、シンガポールの見本市への出展やバイヤーとのマッチングイベント、ワークショップなど、ASEANへの市場拡大を目指して活動中だ。「IPPINは日本の中小企業の優れた製品をシンガポールおよび東南アジアにて広めるべく、翻訳から物流、小売、卸売、展示会、セミナーなど販路開拓のための多岐にわたる活動を行なっています」。
藤代氏はシンガポールで展開する魅力と今後の展望について次のように語ってくれた。「シンガポールの方々が日本酒に更に親しんでいただくために、次の目標としては、酒匠というテイスティングのプロになるための資格を取得したいと思っております。また、シンガポールのビジネス環境の良さやハブとしての役割を活かし、世界中に日本酒を広めていきたいです」。