シンガポールへの直接投資が増えた理由
国連貿易開発会議（UNCTAD）の発表によると、2020年上半期の世界の外国直接投資（FDI）は49％減少しました。通年ではFDIフローが30～40％減少すると予想されています。その一方で、多くの企業がシンガポールへの投資計画を進めたのは、シンガポールの持つビジネス環境や信頼性、価値が挙げられています。また、成長著しい東南アジアやアジアの経済ポテンシャル、EDBの長年にわたる企業とのエンゲージメントなどが底上げの理由として挙げられます。
デジタル化とヘルスケアニーズが投資を後押し
シンガポールでは、新型コロナウィルスの拡大によって業界全体のデジタル化を加速させました。AIや高度な次世代製造技術など新たなデジタル技術の開発と採用を促進するためのデジタル能力も各業界を超えて構築されてきました。例えば、2020年度の投資による新規雇用者数は19,352人ですが、そのうちの24％がソフトウェアエンジニアやクラウド開発者などのデジタル分野の人材で占められています。また、イノベーション分野の雇用者数は7％を占め、新事業・新製品の創出、アグリフードやモビリティなどの新たな機会分野の開発においても進展が見られます。さらに、新型コロナウィルスとの闘いに向けて、ヘルスケア企業が、診断検査キットやワクチンの製造能力を拡大したことも投資の拡大背景の一つとして挙げられます。
多くの企業がシンガポールで長期的なパートナーシップを構築しています。イノベーションによって変革を起こし、ローカルの企業と提携し、成長著しい東南アジア市場の開拓に取り組んでいます。例えば、シンガポールに進出して30年を超えるマイクロソフトは、シンガポールを拠点とする企業と協力してクラウドとAI機能を構築し、将来に備えたハイテク人材をスキルアップするためのトレーニングイニシアチブを開始しました。また、サーモフィッシャーサイエンティフィックは、シンガポールの持つヘルスケアエコシステムによって新型コロナウィルス検査キットのための研究開発に力を入れています。シュナイダーエレクトリックは、EDBと協力して新たなベンチャービジネスを立ち上げました。さらにシンガポールのローカル企業であるメイバンはスマートファクトリーソリューショを提供し次世代製造技術を通じて従業員のスキルアップに取り組んでいます。上記でご紹介した企業のさらなる成長と革新に向けたシンガポールとの取り組みをまとめた映像をEDB公式ホームページで公開しています。こちらをご参照ください。
シンガポールは、ビジネスに適した環境を提供することに引き続き注力
EDB長官であるベー・スワンジン（Dr Beh Swan Gin）博士は今後のシンガポールの投資環境について次のように述べています。「2020年は厳しい年になりましたが、長期的な視点で投資を行う企業にとって、シンガポールはイノベーションと成長のための信頼性の高い魅力的なビジネス拠点です。私たちは新型コロナウィルスの投資に及ぼす影響に対して多少の警戒心を持っていますが、今後数ヶ月の間に感染状況が安定すれば、2021年の下半期には投資状況が改善するかもしれません。私たちは企業、各業界関係者、政府機関と緊密に連携して経済を強化し、競争力を高め、ビジネスと雇用機会を創出し続けなければなりません」。
中長期の投資コミットメントの目標
EDBは、引き続きより良いビジネス環境と雇用機会を創出することに注力してまいります。また、EDBは、シンガポールのビジネスの関心を高めてきたファンダメンタルズを引き続き強化していく方向です。これにはアジアと東南アジアの経済成長、デジタル化とデジタル経済、イノベーションの推進、従業員のスキル強化、ローカルサプライヤーとのエコシステム、コネクティビティとオープンなビジネススタイル、ビジネスフレンドリーでルールに基づいた環境といった要素が含まれます。
＊シンガポールドル（SGD）=78.8円（2021年2月9日現在）
シンガポール経済開発庁について
シンガポール経済開発庁（EDB）は貿易産業省下の政府機関です。ビジネス、イノベーション、および人材のグローバル拠点としてシンガポールが地位を強化するための戦略を担当しています。私たちは投資促進と産業開発を行うとともに、情報・パートナーとのコネクション・パートナーの投資への政府の優遇制度を提供することで、国内外の企業に協力しています。私たちの使命は、シンガポールとその国民のための活気あるビジネスと価値ある雇用機会によって、シンガポールの持続的な経済成長を創出することです。
EDBの詳細についてはhttps://www.edb.gov.sg/ja.htmlをご覧ください。
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