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新型コロナウイルスを契機に、ディープテックで世界的注目を浴びるシンガポール

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シンガポールの企業は、グローバルな新型コロナウイルス(COVID-19)対策に向け、アームバンド・モニター、簡易検査キット、ワクチン、そして数千件のCTスキャンをすぐに分析できる人工知能(AI)などの科学と工学の進歩に根差した先駆的ソリューションを量産している。

新型コロナウイルスの蔓延を抑え、克服するためのグローバルな戦いの中で、このようなディープテック分野でのシンガポールの先進的な能力が脚光を浴びている。同国はこれまで、技術の力を十分に活用する目的で、研究機関の育成や、トップクラスの医療研究所の立ち上げ、ディープテック・エコシステムの整備に数十億ドルを投資してきた。そして今、新型コロナウイルスがこうしたエコシステムの真価を試している。

「ディープテック」とは具体的に、人工知能や医療技術、バイオテクノロジー、さらには「モノのインターネット(IoT)」などの分野で、大幅な科学の前進と工学的イノベーションから生まれたテクノロジーを指す。シンガポールのディープテック・エコシステムの企業はここ数カ月間、グローバルな新型コロナウイルス対応を支援するため、既存の技術の適応方法を探る中で、活発な活動を繰り広げてきた。

例えば、地場の医療技術企業ミレックサス(MiRXES)は、シンガポール科学技術研究庁(A*Star)とタントックセン病院(TTSH)がわずか3週間程度で開発した診断検査キットを大量生産している。
このキットは、これまでタントックセン病院で検査された全ての陽性サンプルを検出できている点で、100%の臨床的感度を備えている。検査結果は約90分で判明する。

ミレックサスの投資家で取締役を兼務するアイザック・ホー(Isaac Ho)氏は、このキットを最も優れた診断検査キットとと言い、ビジネスタイムス紙に対して、同社は毎週10万件の検査を行うことができ、さらに週30万件を超える水準まで、生産のスケールアップを図っているところだと述べている。
この検査は、10カ国以上で、シンガポールの病院の80%で実施される。
同社がシンガポール内外のニーズ充足に向け、このキットの生産規模を迅速にスケールアップできる能力の決め手は、世界最大のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ラボの一つと、さまざまな生産施設を所有していることにある。

その他、今回のグローバル危機で頭角を現したシンガポール企業としては、ベレダス・ラボラトリーズ(Veredus Laboratories)、バイオリディクス(Biolidics)、アキュメン・リサーチ・ラボラトリーズ(Acumen Research Laboratories)が挙げられる。また、デュークNUS医学大学(Duke-NUS Medical School)の研究者チームは 多種多様なウイルス検査キットを開発している。
ディープテック・ベンチャーに投資しているヘリタス・キャピタル・マネジメント(Heritas Capital Management)の最高経営責任者を務めるチク・ワイチュー(Chik Wai Chiew)氏は、これによって、シンガポールにはすでに、ディープテック・ソリューションを迅速にスケールアップできるインフラが整備されていることが明らかになったと述べている。

同氏によると、ラボの構築が進むとともに、ソリューションの迅速な試作、製造および普及を行うための装置も導入されている。
さらに、官民が連携するためのエコシステムも十分に成熟を遂げている。
同氏は、研究機関が以前から、実世界の問題を解決するために、資金を集めながら、領域を超えた協業を行ってきたことを指摘している。

例えば、シンガポールに本社を置くAIスタートアップのシックスエステーツ(6Estates)は、AI搭載のCTスキャン診断補助プラットフォームを開発した。同社は、シンガポール国立大学と中国の精華大学による共同研究センター「NExT++」からスピンアウトで設立された。

精華大学の卒業生が率いるチームが医療関連の知識と主要領域のノウハウを提供する形で、同社はそのディープラーニングとニューラルネットワークを2カ月足らずで適応させ、AI搭載プラットフォームに患者の肺へのウイルス感染の兆候を認識させる訓練を施せるようになった。
胸部CTスキャンは現在、新型コロナウイルスの新たな診断ツールではないが、同社の最高経営責任者を務めるルアン・フアンボ(Luan Huanbo)博士によると、このAIプラットフォームが画期的なのは、200枚の画像からなる1回のスキャンをわずか10秒と、熟練放射線医の30倍の速さで読み取って処理できる点にある。プラットフォームの平均的診断確度は84.7%である。
「このソリューションは、検査キットの入手が困難か、信頼度が低い問題に直面しながらも、CTスキャナは簡単に利用できる国や医療機関にとって特に有用といえる。」と同博士は述べた。

現状においてイノベーションが急速に進んでいる背景には「flatten the curve(感染者数のピークを抑えること)」が緊急に必要とされているという事情がある。健康や病気にまつわる状況の分布、パターンおよび要因の調査と分析において、流行曲線とは、一定期間に予測される新規患者数を描出したものを指す。

Flatten the curveという考え方には、新規感染者の発生数をさらに長期にわたって遅らせることにより、人々のケアに対するアクセスを改善し、医療システムの崩壊を防ぐという意味がある。
業界関係者の中には、これまで何年もかかっていた規制プロセスが一気に進展し、当局も新たな動きを受け入れやすくなったと指摘する向きもある。

シンガポールに本社を置くエスコアスター(Esco Aster)は、同国と米国にある他企業と共同で、新型コロナウイルス向けのハイブリッドワクチンを開発している。
最高経営責任者のリン・シャンリャン(Lin Xiangliang)氏は、さまざまな政府の支援を受けながら、通常は数年かかる可能性もある開発を加速したいと語っている。

同氏によると、ライフサイエンス企業エスコグループ(Esco Group)で医薬品受託製造開発(CDMO)を担当する同社は、共同開発者と密接に連携しながら、妊娠検査薬のように、自宅でも使えるシンプルで効果的な検査キットの提供を目指している。
同社は1カ月足らずで、検査ブースや移動式臨床診断ラボのほか、新型コロナウイルス用の臨時隔離室など、関連の感染防止装置の開発と構築を終えた。

デジタル療法のスタートアップであるバイオフォーミス(Biofourmis)は、わずか10日で自社のバイオバイタルズ・センティネル(Biovitals Sentinel)プラットフォームをカスタマイズし、新型コロナウイルス感染者の症状悪化を検知できるようにした。
患者がバイオセンサーを腕に着けるだけで、感染を示す可能性のある生理的変化が分かるようになっている。これによって、医療専門家が早期に治療にかかることも可能になる。

シンガポールで設立された医療技術スタートアップの同社は、3週間足らずでこれを実用化し、米国やオーストラリア、香港、英国にも展開している。

バイオフォーミスに投資しているEDBIの最高経営責任者兼社長チュー・スイヨック(Chu Swee Yeok)氏は、次のように語っている。「今回の危機で、ディープテック企業が技術の適応と動員を図っている様子は心強いものであり、私たちとしても、最終的な復興を視野に入れながら、このような将来性のある会社にもっと投資をしてゆこうと考えている。」

ディープテックにはしばしば、具体的な機材や専門的なスキル、インフラが基本要素として必要になる。業界関係者の指摘によると、ディープテックそれ自体にもさまざまな分野があり、それぞれに異なる固有の人材やスキルセットが必要となる。

しかし、この事例が示すように、隣接領域の企業の中には、目下共通の敵である新型コロナウイルスに対して、それぞれのコア技術の使用を修正、適応させる向きが見られる。

人材投資会社アントレプレナー・ファースト・シンガポール(Entrepreneur First Singapore)で統括マネジャーを務めるバーナデット・チョー(Bernadette Cho)氏はこうした起業家を、コミュニティに奉仕するため、大量の勢力を注ぎ込み、素早く仕事を片付ける創設者として評価している。
「こうした寛大な精神と奉仕の心を、私たちはもっと応援すべきである。」

出典:The Business Times© Singapore Press Holdings Limited. 無断転載を禁ず。

主力産業一覧

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  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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