開発作業を推進するためにシンガポールを選んだ理由をお聞かせください。
シャストリ氏:アジア太平洋地域は今後も急成長を続ける市場であり、当社の成長においても中心的役割を果たしています。シンガポールはその戦略的ロケーションにより、およそ15年にわたりアジア太平洋地域の事業の中心地となっています。より大規模で高機能な施設の開設により、シンガポール施設をさらに強化し、チームの専門性を向上させ、医療機器業界における地域およびグローバルなプレゼンスを高めることを目指しています。
昨年新設した施設に移転したことで、GMPの保管、地域ラベル表示、二次包装、コンパレーターソーシング、室温・コールドチェーン供給から返品管理まで、医療機器のワンストップサービスを地域および世界の製薬バイオテク企業に提供することにより、域内で高まっている医療機器サービスの需要に対応していきます。
製品開発の過程でシンガポールに拠点を置く機関や組織と協力することはありましたか。また製品開発において、これらの組織からどのようなサポートを受けましたか。
ブーン氏:当社のシンガポールR&D部門は、全世界の全ての部門にわたり、ユニークな機器開発のサポートをしています。そのため、この幅広い技術でビジネスニーズに対応するためには、様々な科学・技術分野の専門知識が必要となります。しかし、そのリソースを全て社内に持つことは莫大な費用がかかり非現実的です。シンガポールのR&D部門は、シンガポールに拠点を置く設計企業、大学、研究機関が計器プラットフォームの開発支援において重要な役割を果たしている「ハブ&スポーク」戦略を採用しています。
新しい設計コンセプト、サブシステム・モジュール設計の短時間でのプロトタイプ製造においては多国籍企業や中小企業と提携し、必要に応じてそれら企業の社内の既製設計を活用することもあります。多くの場合、これらの提携関係はサブアセンブリの大量生産に発展しています。
研究機関は潜在的なIPライセンスのチャンスの宝庫であり、専門技術分野の助言を受けることもできます。研究機関との連携の一例が国立計量センター(NMC)との連携による計量・計測システムです。
また、大学と共同で幅広いインターンシッププログラムを行っています。人材担当との連携により、様々な学部の優秀な学生が最大6カ月間、当社のシニアエンジニアや科学者と共にプロトタイプの設計やテストに参加します。インターン生は革新性に富み、R&Dでのキャリア構築に非常に意欲的です。このプログラムを通して、R&D部門と企業は優秀な地元の人材の宝庫を得ることができます。
特に印象に残っているプロジェクトでの喜びや悲しみなど、製品開発プロセスにまつわるエピソードをいくつか教えてください。
シャストリ氏:製品開発プロセスには決して単調な瞬間などありません。時間と予算に応じてプロジェクトを進行する必要がある場合には大きなプレッシャーもあります。それでもやはり、悲しみより喜びの方が多いです。中でも最も大きな喜びが得られるのは、ますます加速し高まるイノベーションや生産性に関するニーズに応える製品を完璧な状態で市場に売り出すことができ、お客様から高い評価をいただいたときです。