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政府主導のデジタル革新

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世界中の企業がデジタル革新を推進する中、シンガポールでは政府がデジタル革新を主導しています。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、世界中の政府が最新技術を活用してデジタル化した場合、それによる価値は年間1兆USD(110兆円)以上です。

政府の明確なリーダーシップと国民の技術的成熟により、シンガポールは既にデジタル化の利益を享受できるところまで来ており、いつでも新しい戦略を採用して高効率で効果的なサービスを提供することが可能です。

 

デジタルリーダーシップ

デジタル政府の提唱者であるリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相は2014年11月、「ネットワーク、データ、情報技術の力を活用して、生活の改善、経済的機会の創出、密接なコミュニティの構築を促進する」ため、スマートネーションプログラムを開始しました。ビビアン・バラクリシュナン(Vivian Balakrishnan)外務大臣の指揮のもと、同プログラムはシンガポールの高優先事項として推進されています。

マッキンゼー・アンド・カンパニー・シンガポールの代表社員兼業務執行社員であるダイアン・イー・リン(Diaan-Yi Lin)氏は「これまで政府指導者はデジタルリーダーに率直な意見を述べてきました。シンガポールのように、政府の指導者が先頭に立って目に見える形でデジタル化への取り組みを行っている国はほとんどありません」と語り、スマートネーションプログラムは、シンガポール政府が「世界で最も優れたデジタル機能と実績」を評価されている数多くの取り組みの一つだと述べました。

1980年代からのシンガポールの大規模な目標は非常に意欲に満ちており、中でも2000年に開始した最初の電子政府行動計画は特筆に値するものです。

スマートネーションプログラムの実現に向けて始動したのは、ヤーコブ・イブラヒム(Yaacob Ibrahim)情報通信大臣が監督するインフォコム・メディア2025計画です。同計画は、「大きな国家課題の解決に貢献する能力と革新を生み出す」とするシンガポールの目標に向けた基本計画です。

インフォコム・メディア2025報告書では、情報通信メディアが重大な効果をもたらすことができる4つの分野として、ビジネスの生産性向上、シンガポール人への高技能雇用の創出、保健ソリューションとサービスによる高齢化のサポート、積極的な社会的目標の共同探求による国家アイデンティティの強化を挙げています。

明確な方向性を持つことには様々な利点があります。リン氏は「これらの目標を設けることで、シンガポールの公務員や政府機関はそれを達成するために、かなりの創造性、努力、リソースを費やしています」と語っています。

また企業にとっても、技術的に未来を見据えた考え方が促進されるという明確な利点があり、「公共機関のデジタル化により、企業は以前よりも迅速にデジタル化を推進でき、コスト削減と付加価値につながったという話をシンガポールにいる多数のビジネスリーダーから聞きました」と同氏はコメントしました。

集団の知恵

国家レベルでのデジタル化は、行政の効率性を高め、政府と企業間の情報の流れを合理化し、行政処理を軽減できます。さらに、企業は公開されているビッグデータに簡単にアクセスできるため、商業と地域社会のそれぞれの利益につながる新しいソリューションと革新が促されます。

シンガポール政府は様々な公式チャネルやフォーラムを通してステークホルダーのアイデアや懸念を聞く機会を設けており、全てのセクターの利益となる長期戦略を策定する上で役立てています。

これまで官民両セクターの多くのステークホルダーが、次の50年に向けた経済戦略を始めとする国家戦略を提言している未来経済委員会(CFE)などを通して政府のデジタル戦略に貢献しています。政府部門、多国籍企業、地場企業、学界のメンバーから成るCFEは、シンガポール全体の利害を代表しています。

「委員会の諮問的アプローチのおかげで、市民、住民、企業を含む様々な立場におけるニーズに政府のデジタル戦略をより適切に適合させることができている」とリン氏は言います。

シンガポールの規模にも利点があります。Google、PayPal、IBM、セールスフォースのような多くのテクノロジー企業が、世界のどの地域よりも密接して拠点を構えているため、計画的または自発的なパートナーシップや提携が行われる可能性がはるかに大きいと言えるでしょう。

アジアへの玄関口

アジア市場への対応を強化するため、複数の企業がシンガポールに地域統括本部を置いています。アジアでの情報技術サービスへの需要の増加とシンガポールのビジネス上の利便性を考慮すると、これは理にかなった選択です。

IBMなどの多国籍企業はシンガポールにイノベーションセンターを設立し、アジア地域の課題に対処し解決するためのツールや洞察の研究開発を行っています。

フィンテックと物流分野におけるセキュリティ問題に注力しているIBMのブロックチェーンイノベーションセンターは、その種としては同社初のイノベーションセンターです。IBMリサーチ、グローバルラボ副社長のロバート・モリス(Robert Morris)氏は、世界最大の拠点港であり世界第3位の金融センターであるシンガポールは、同施設の立地条件に最適だと述べています。

同氏は、「複数分野でのビジネス取引を向上させるためにブロックチェーンとコグニティブ技術の活用を研究する今回の事業は、IBMにとって同国内で民間部門と複数の政府機関と連携する初めての事例となります」と語り、さらに同事業は「財務、銀行取引、IoT、ヘルスケア、サプライチェーン、製造業、テクノロジー、政府、法制度などにおいて、広範囲にわたる革新的な影響を及ぼすだろう」と語りました。

 

デジタルトレーニングへのフォーカス

先見性のある人材計画が行われていなければ、デジタル国家への前進はありません。リン氏は「デジタル人材の確保が最優先」と言います。

政府が支援するソフトウェア設計・開発のセンター・オブ・エクセレンスである GovTech Hiveは、政府機関に技術サービスを提供するだけでなく、デジタル人材の育成にも取り組んでいます。

IDAデジタル設計開発担当ディレクターのイーユン・リム(Eyung Lim)氏は、同施設は敏捷性を最大限に高めるために様々な分野のデジタル実践者を雇用・訓練しているとし、「多分野にわたる総合チームが、政府のデジタルサービスや政策の開発において俊敏な対応を実現しています。ここでは様々な専門能力を活用して、あらゆるサービスやソリューションを徹底して開発することができます」と語っています。

また新設されたスキルズフューチャー・プログラムでは、シンガポール人が継続的に専門スキルを向上させることができるよう、クレジットと補助金により訓練費を相殺しています。スキルズフューチャー・シンガポール最高経営責任者のウン・チェルポン(Ng Cher Pong)氏は、2015年のプログラム開始以来、政府が支援する訓練施設は年々増加し、重要な役割を果たしているとし、「スキルズフューチャーは、生涯学習とスキル熟練についての考え方を変えるもので、実際に企業や個人の考え方にも変化が見られている」と語りました。

スキルズフューチャーへの予算に加え、情報通信省(MCI)は国内人材の情報通信技術を向上させるために3年間で1億2,000万SGD(96億円)を投じる予定で、これにより2020年までに情報通信分野にて3万人の新規雇用の創出を見込んでいます。

しかしトレーニングは計画の一面に過ぎません。国内に才能を維持することも必要不可欠で、若年層のシンガポール人に意欲をかき立てるようなキャリアパスを提示することが重要です。リン氏は、政府技術庁(GovTech)や情報通信メディア開発庁(IMDA)などのデジタル推進部門が、人材育成とデジタルリーダーの任命という2つのプロセスによる人材採用のアプローチを他の機関と共有することを推奨しています。

このような国全体が一丸となった取り組みを行うことで、将来の社員や補助サービスが必要かどうかにかかわらず、企業はシンガポールにてデジタル即戦力のある人材を確保できるようになります。

アジアでの足場を得ようとしているテクノロジー企業にとっては、シンガポール政府の洞察力、ビジョン、リーダーシップにより、ビジネス基盤の強化を促進できます。シンガポールで得られる支援、人材プール、地域的なアクセスも、シンガポールが事業拡大の拠点としてトップ候補地とされる要素です。

シンガポールは、バックエンドプロセスをデジタル化・合理化する広範囲にわたる大規模な戦略を既に実行し、効率性とコスト削減を実現しています。過去の経験をベースとして、「シンガポールは今後もデジタル政府の水準を高めるため取り組みを続けていくだろう」とリン氏は述べました。

 

出典:シンガポール経済開発庁(EDB)フューチャー・レディ・シンガポール

1シンガポールドル(SGD)=80円、1米ドル(USD)=110円(8月22日現在)

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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