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2022年10月-2023年3月期シンガポール製造業景況感

シンガポール経済開発庁(EDB)は、2022 年 10 月‐2023 年 3月期の製造業景況感を発表。コストの上昇や経済環境の悪化により、製造業の景況感は引き続き消極的な状況が続いている。

2023/11/08

以下は、EDBの英文リリース原文の一部を抄訳したものです。
 

2022年10月‐2023年3月期景況感

製造業の景況感は引き続き消極的な状況が続いている。ロシアとウクライナの紛争や中国における新型コロナウイルス対策などを背景に、企業がサプライチェーンの課題や事業コストの上昇に直面していることに加え、経済環境の悪化が需要を圧迫していることがその要因となっている。業況が改善すると予想した企業は8%にとどまり、28%が悪化を予想している。全体的には、2022年10月から2023年3月までの正味加重残高指数1は、2022年第3四半期(7~9月)に比べて悪化傾向を示している。

2022年10月‐2023年3月期景況感

業種別は以下の通り:

  • 製造業では、輸送エンジニアリングが最も楽観的で、プラス36%となった。これは、多くの国で渡航制限が緩和されたことによる航空機移動の増加を背景に、航 空機のメンテナンス、修理、オーバーホール(MRO)作業の需要が高まると予想される航空宇宙部門が牽引した。また、陸運部門でもベンダーからの自動車部品の供給が増加し、事業環境の改善が見込まれている。
  • 一般製造業は、マイナス4%となった。印刷業が今後のビジネスイベントや展示会の増加を見越して受注の増加を見込んでいるものの、食品・飲料・たばこ部門では、エネルギーや原材料費などの事業コストの上昇を懸念する企業が多く、事業見通しは悲観的となった。
  • 化学は、マイナス8%となった。その他の化学品、特殊化学品、石油化学は、マクロ経済の不確実性や営業コストの上昇を背景に需要の低迷が懸念されている。
  • バイオメディカルは、マイナス16%となった。医療技術、医薬品ともに、サプライチェーンの制約、原材料やその他の営業コストの上昇といった要因から、引き続き業績の悪化が予想される。
  • 精密エンジニアリングは、景気の悪化と断続的なコスト上昇による機械・システム部門の悪化の影響が大きく、マイナス26%となった。特に半導体関連装置業界では、米国による技術輸出規制の影響を受けて受注が弱含むと予想される。
  • エレクトロニクスは、最も悲観的なマイナス37%となった。半導体やコンピュータ周辺機器・データストレージ部門で、特にPCやスマートフォン市場の消費者需要の急速な軟化が懸念材料となった。
     

10月‐12月期生産高予測(7月‐9月期比)

輸送エンジニアリングと一般製造業は前期比で増産が予測されるものの、その他の部門は減産予測で、全体ではマイナス17%の予測となった。

10月‐12月期生産高予測(7月‐9月期比)

業種別は以下の通り:

  • 輸送エンジニアリングは、プラス14%となった。供給不足の緩和による自動車用製品の増産に加え、民間航空会社からの航空機エンジン修理の需要が高まると予測している。
  • 一般製造業はプラス11%となった。食品・飲料・タバコ部門は、年末に向けた祝祭シーズンの需要を見越した増産を、その他の多様な製造業においては国内の建設需要を背景に建設関連資材の増産を予測している。
  • 精密エンジニアリングはマイナス18%となった。機械・システムは需要の軟化による半導体装置の減産を見込んでいる一方で、精密モジュール/コンポーネントはボンディングワイヤーや光学製品の増産を予想している。
  • エレクトロニクスは、マイナス36%となった。半導体とコンピュータ周辺機器・データストレージ部門では、コンシューマー向け電子製品の需要低迷と小売り市場での在庫調整により、減産を見込んでいる。

英文リリースはこちらからご覧いただけます:
https://www.edb.gov.sg/en/about-edb/media-releases-publications/business-expectations.html


1  調査対象417社の内、90%が回答。指数は、直前四半期の実際の業績と比較した向こう半年の業況対する回答、「改善する」「変わらない」「悪化する」の加重割合の差で、プラスは改善傾向、マイナスは悪化傾向を示す。
 

シンガポール経済開発庁(EDB)とは

EDBは1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、シンガポールで競争力を持ちえる産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。

Press Release

8 November 2022