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(抄訳)シンガポール、2022年度における最新投資状況を発表 固定資産投資額(FAI)は前年比でほぼ倍増

シンガポール経済開発庁(EDB)は、2022年度の投資状況を発表。世界経済の先行きが不透明な中、2022年の固定資産投資額は過去最高となる225億SGD(2兆2500億円)を記録しました。

2023/02/22

以下は、EDBの英文リリース原文の一部を抄訳したものです。

EDBは、世界的にマクロ経済の先行きが不透明な中、2022年の固定資産投資額が過去最高となる225億SGD(2兆2500億円)に達したことを発表しました。年間総事業費と雇用創出は中長期予測に沿った結果となりました。2022年の投資結果は以下の点を反映しているとみられます:

  • アジアの経済成長による事業機会への継続的な注目
  • シンガポールの資本、人材、物流・データ拠点としての信頼性
  • シンガポールのイノベーション能力向上への認識
     

固定資産投資額は過去最高

2022年の固定資産投資額は、中長期予測を大幅に上回る225億SGD(2兆2500億円)を記録し、過去最高となりました。投資の約3分の2を占めるエレクトロニクス分野で、上半期に大型の製造業向けプロジェクトが異例の規模で流入したことが要因として挙げられます。しかし、先行き不透明な世界マクロ経済、グローバル投資競争の激化、半導体産業の急激な需要の減速などから、2023年は限定的となることが予想されます。

年間総事業費は、中長期予測範囲内の62億SGD(6200億円)となりました。より多くのグローバル企業が事業のレジリエンスを高め、アジア地域や世界市場へアクセスするためにシンガポールを拠点としたことから、総事業費の約半分が本社統括部門および専門サービス部門で占められました。

また、数年後に投資が完了した場合、17,113人の新規雇用が創出され、年間付加価値額は206億SGD(2兆600億円)になると予測されます。雇用の内訳は、61%が事業拠点および事業サービス、27%が先進製造業、12%がイノベーション分野となる見通しです。

指標*(10億SGD)
2021年実績 
中長期予測 
2022年実績
固定資産投資 
12.7 8.0 – 10.0
26.7
年間総事業費 
8.9 5.0 – 7.0
26.7
新規雇用者数(人) 
20,045 
16,000 – 18,000
26.7
年間付加価値 
20.6 -
26.7


米国、欧州、アジアの多様な企業から質の高い投資を獲得したのはシンガポールの経済基盤や安定性、信頼性、中立性の点で高い評価を受けたことによるものです。成長著しい南アジア・東南アジア市場への参入を目指す中国をはじめとして、北東アジア諸国の企業からの関心も高まっています。
 

デジタル化とイノベーション支援が投資を後押し

デジタル産業の長期的展望は引き続き明るく、多岐にわたる業界において、データ、デジタル化、自動化など、継続した事業推進が見られます。また、フィンテック、クラウド、サイバーセキュリティ、B2B SaaS、ゲームなど、東南アジアで拡大しているデジタル経済による商機もあり、あらゆる業界でハイテク人材に対する需要が堅調に推移すると予測されます。

シンガポールの活気ある研究開発とイノベーションのエコシステムは、製品改革を進める企業を惹きつけ、新たな成長分野と雇用を創出しました。EDB は企業と協働し、シンガポールを拠点とする新しいベンチャー企業の設立と投資を継続的に行っています。2021年、試験的に導入された1000万SGD(10億円)のCorporate Venture Launchpad (CVL) プログラムは、13社のベンチャービジネスを育成しました。新たな6社の立ち上げに際しては、親会社による約5000万SGD(50億円)の追加投資が約束されています。2022年7月にはCVLプログラムを拡大し、より多くの企業を支援するために2000万SGD(20億円)を追加拠出しました。今後 2 年間で 20~30社 のベンチャー企業の支援を目指しています。
 

脱炭素の取り組み

世界的な持続可能性への取り組みの一環として、EDB は炭素集約型企業と協力し、シンガポールの製造業界におけるネットゼロ目標を2050 年までに達成できるよう取り組んでいます。脱炭素化の導入支援、排出削減や再生可能エネルギー、農業ビジネス、循環型経済、カーボンサービスなどの分野で有望な技術を持つ企業を積極的に誘致することで実現可能となります。さらに、エンタープライズ・シンガポール(シンガポール企業庁)と共同でカーボンサービス分野の開発を進めており、今日70社以上の企業がエコシステムを構築しています。
 

2023年に向けて

EDBは、引き続き中長期予測値を目標としていきます。

2023年の事業見通しは、世界需要の鈍化や追加利上げによって厳しくなると予測されます。しかし投資は複数年計画であることから、先進製造業(エレクトロニクス、ヘルスケア、航空宇宙)、農業ビジネスを含むグリーン経済、デジタル経済など、高成長かつ高付加価値の分野にはチャンスがあると予測しており、シンガポールは、サプライチェーンの管制塔としての役割を担い、起業家精神、イノベーション、民間資本の中核として機能を強化していきます。

そしてアジアへの投資を目指すグローバル企業や事業者、世界進出を目指すアジアの投資家にシンガポールの魅力を発信し続け、近隣諸国との緊密な経済協力を支援するとともに、労働力の質を高め、グローバル人材や補完的なスキルを持つ労働者に門戸を開き続けることで、国際競争力のある人材プールを育成・成長させます。

EDB 長官ベー・スワンジン博士は次のように述べています。「2022 年の投資約定額は、シンガポールがビジネスの拠点として、またグローバルなサプライチェーンの重要な中核として信頼されていることを反映しています。世界経済の先行きが不透明な中、多くの国が投資誘致のための産業政策を展開し、投資獲得競争はますます激しくなるでしょう。我々は、シンガポールの利点を活かして、グローバル企業や事業者を惹きつける商機と雇用機会を創出し続けていきます。」

*1SGD=100円換算

英文リリースはこちらからご覧いただけます:
https://www.edb.gov.sg/en/about-edb/media-releases-publications/edb-year-2022-in-review.html
 

シンガポール経済開発庁(EDB)とは   

EDBは1961年に設立された貿易産業省傘下の政府機関で、シンガポールの産業育成、投資誘致を担っています。「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、海外20カ所以上に事務所を持ち、外国企業に投資先としてのシンガポールの情報を提供するだけでなく、世界の経済、技術、市場動向を把握することで、シンガポールで競争力を発揮する産業や分野を育成するための経済戦略を立案しています。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。  

Press Release

22 February 2023