同氏は、政府が支援するプロフェッショナル・コンバージョン・プログラム(PCP)について、「人員ニーズを満たす非常に層が厚くて強力な技術者プール」を得ることができる仕組みだと評価しています。
ワークフォース・シンガポール(WSG)とシンガポール経済開発庁(EDB)が共同開発したバイオ医薬品製造部門向けのPCPは、中堅プロフェッショナルの再教育を行い、異なる業種や周辺業種に就くために必要な知識の習得をサポートしています。同プログラムには、アッヴィのような参加企業がシンガポール国内外のバイオ医薬品製造施設での実地研修を研修生に提供する、バイオ医薬品海外スキルトレーニング(Boost)プログラムが含まれています。現在、同社ではBoostプログラムの研修生47名を受け入れています。
オドナヒュー氏は「プロジェクトの初期段階で、シンガポール国内外のBoostプログラムを利用して新卒者や石油およびガスなど他業界からの転職者を雇用しています。今後数年にわたってプログラムを継続してシンガポールでの雇用をサポートし、このプログラムを通してスキルを習得した優秀な従業員を活用していきたい」と語りました。
開所式にて、シンガポール貿易産業省のS・イスワラン(S. Iswaran)大臣は、シンガポール政府は引き続き地元の労働力の訓練とスキルアップに注力すると述べ、2014年のプログラム開始以来、350名以上が薬剤およびバイオ医薬品分野向けPCPの恩恵を受けていることを明らかにしました。さらに、高齢化、医療需要の拡大、技術変化により医療の枠組みが変化しつつある今は、新しいバイオ医薬品製造施設を開設するのにうってつけのタイミングだと語り、「このような変化が既存のビジネスモデルを混乱させる一方で、新たなチャンスももたらされている」とし、シンガポールは引き続きイノベーションに投資し、業界と密接に連携して国の競争力を強化していくと述べました。その一つとして、シンガポール政府は、RIE(リサーチ・イノベーション・エンタープライズ)2020計画の下で、医療とバイオメディカルサイエンスに40億SGD(3,360億円)、先進製造とエンジニアリングに32億SGD(2,688億円)を投資する予定です。同大臣は「RIE2020の戦略的目標は、公的研究機関と民間企業との連携を強化し、研究開発への投資から高い価値を創出することです」と述べました。
1シンガポールドル(SGD)=84円(2017年12月8日現在)