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シンガポールから世界の眼科医療の向上を目指す

Company Case Study

  • 医薬品・バイオテクノロジー
  • 医療技術

国内医療用点眼薬でシェア1位を誇る参天製薬株式会社(以下、Santen)。眼科領域 に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、近年増加している緑内障や、ドライアイ に対応した点眼剤を世に送りだしている。

同社は現在60カ国以上に販売展開するグローバル企業だが、その拠点として注力しているのがシンガポールだ。シンガポールは同社のリージョナルヘッドクオーターとして、事業統括と研究開発の一大拠点となっている。今回はSantenのアジア事業副統括の吉田智行氏(以下、吉田氏)と、シンガポールで研究開発を統括する眼科イノベーションセンター・アジアグローバルアライアンシズ&エクスターナルリサーチチームマネージャー・医学博士景山正明氏(以下、景山氏)に、Santenの事業展開についてお話を伺った。

シンガポールからアジア諸国の眼科ニーズにこたえる

Santenがシンガポールに進出したのは1980年代で、当初は現地の販売パートナーを通じて、眼科向けに販売する形で進出を行った。吉田氏がシンガポールでの事業展開について語ってくれた。吉田氏は2003年よりアジア事業に携わり、韓国・ベトナム駐在を経て、2016年よりシンガポールを拠点とした事業展開を推進している。「Santenのアジア進出が本格化したのが2000年頃からです。まずは中国、韓国にて自販体制を確立し、顧客ニーズに基づいて製品とサービスを提供するビジネスモデルを開始しました。東南アジア、インド、オーストラリア事業を統括するリージョナルオフィスをシンガポールに設立したのは2013年です」(吉田氏)
シンガポールや東南アジアにおける事業展開は、眼科医から処方される医療用医薬品が中心で、一部の国ではその規制によって薬局や眼鏡店へも製品を提供している。「シンガポールや東南アジアでは、目の不具合を抱えている人々に対して必要な診断、治療が行き届いていないというニーズが明らかに確認できます。大きな課題は、人口に対して眼科医の数が圧倒的に足りていないことです。そのため、近視やドライアイといった身近な眼疾患だけでなく、失明につながる緑内障や急な治療を要する感染症などに対しても、適切な治療が行き届いていないという問題があります。
その国の眼科医療を向上させるのが私たちの役割です。その中の一つが製品供給であり、同時に眼科医、眼科施設のケーパビリティを上げる活動や疾患の啓発も行っています」(吉田氏)

Santen 吉田智行氏
Santen 景山正明氏

シンガポールには眼科医療の一大研究開発ネットワークがある

世界の他の地域同様、アジアにはさまざまな目の疾患に関する強いアンメットニーズが存在し、特に、緑内障や近視の患者さんが多数おられる。こうした眼科疾患に対する医療ニーズに応ずるためには、新たな治療、診断方法の開発が急務だ。Santenはシンガポールを研究開発の一拠点として活用しており、シンガポール眼科研究所(以下、SERI)との共同研究に取り組んでいる。シンガポールでの研究開発の状況について、眼科イノベーションセンターの景山氏にお話を伺った。景山氏は医学博士として各種全身薬や眼科薬の研究プロジェクトリーダーとして日本や米国で研究開発に従事し、シンガポールでSERIとの共同研究の企画・実行にあたっている。
「当初、SERIとの共同研究は2014年にスタートし、Tien Yin Wong教授およびAung Tin教授のリーダーシップのもと2017年頃から大規模共同研究がはじまりました。この提携により両社の豊富な経験を活用し、高質かつ迅速な開発など、眼科薬の研究開発における相乗効果が期待できます。緑内障、糖尿病性網膜症、感染症、近視など主要な眼科領域のアンメットニーズにフォーカスしており、共同研究のプラットフォームであるジョイントラボも設立し取り組んでいます。この共同研究成果の一つが、近視進行抑制薬である「DE-127」の開発です。SERIの近視の権威であるDonald Tan先生とRoger Beuerman先生との共同研究で見出された新規アトロピン製剤で、小児近視の進行を抑制し視力維持に貢献することが期待されています」。また景山氏は、シンガポールに研究開発拠点を設けるメリットについて次のような点もあるという。「シンガポールではEDBをはじめ政府関係機関の強力な支援体制が整っており、研究開発ネットワークの構築が比較的容易です。また、日本や米国など他の地域では、研究機関の規模が大きく構造が複雑でネットワークを築くのも大変ですが、シンガポールではさまざまな研究分野の拠点が数カ所に集中しており、ワンストップで関連技術の研究開発に取り組むことができるのが魅力です」(景山氏)。

スタートアップと連携し目の健康に向けたエコシステムづくり

シンガポールは「世界の近視の首都」と呼ばれるほど、世界的にも近視の有病率が高い。同国保健省によると、シンガポールの児童の65%が小学6年生になるまでに近視になるとされ、2050年には18歳以上の成人の80~90%が近視になると予想されている。この状況に対して、Santenは近視に対する包括的な取り組みを始めている。それがシンガポールのスタートアップ企業Planoへの出資と戦略的な連携だ。近年、Santenは近視を含めて眼科疾患を総合的に解決するため、メディカルデバイスやデジタルテクノロジーにも目を向けている。Planoとの戦略的提携はその一環である。PlanoはSERIからスピンオフした企業で、同研究機関の「眼科技術インキュベーター プログラム」から独立したスタートアップだ。Planoは児童の近視を予防するスマートフォン・アプリを開発しており、2020年「グローバル・ヘルステック・サミット」で「世界で最も革新的なスタートアップ賞」にも選出された企業だ。子供たちのスマートフォンの使用状況をアプリが分析し、目に悪影響を与える使用をアラートで知らせてくれる。さらには提携している眼鏡店で目の検査も受けることが可能だ。「WHOから提言されているように、近視はシンガポールなどアジア地域固有の課題ではなく、世界規模で取り組まなければならない重要な疾患と考えられるようになっています。SERIなどの研究機関との共同研究において、近視治療薬の開発に留まらず、Planoのようなデジタル技術を活用した包括的な疾患マネジメントに貢献するという目標に取り組んでいきたい」(景山氏)。SantenはPlanoへの出資を通して、近視の課題に対して、包括的で革新的なテクノロジーによる解決に取り組んでいく考えだ。

シンガポールの多様性の強みとは

Santenのアジア事業活動全体を統括しているのがリージョナルヘッドクオーターであるシンガポールオフィスだ。現在、マーケティング、メディカル、研究開発、人事、ファイナンス、サプライチェーンなどさまざまな機能を統括している。「シンガポールオフィスが立ち上がるまでは日本本社から各国への支援を実施していました。現在は日本と中国を除くその他のアジア、韓国、台湾、東南アジア、インド、オーストラリアなど17カ国・地域の事業をシンガポールから統括しています」(吉田氏)。現在、Santenのアジア事業には約400名のスタッフが従事しており、さまざまな国の人材が働いている。シンガポールに拠点を設ける最大のメリットが多様性にあるという。「眼科医療といっても国によって状況がさまざまです。また都市部と地方では大きく異なることもあります。保険制度も異なってくる。過去の私たちの事業展開は、日本の製品を日本でのマーケティング手法を基本としてアジアの顧客へ提供するという手法でした。しかし、現在はシンガポールに各国の医療事情や現地ニーズに精通した人材を配置し、各国のドクターや眼科学会とのコラボレーションを積極的に展開することで、よりアジアの実情に即した貢献や投資を行えるようになりました。また、シンガポールが持つ人材の多様性が柔軟なオペレーションを可能にしています。例えばサプライチェーンのヘッドはドイツ人、ダイバーシティのヘッドはマレーシア人、サージカルデバイスの責任者はインド人などと、多様で優秀な人材がシンガポールにいるのが魅力です」(吉田氏)

 

2030年を見据えグローバル展開と開発力のさらなる強化

Santenは「Santen 2030」という長期ビジョンのもと、人々の目の健康に関する社会的な課題の解決に戦略的に取り組んでいくことを掲げている。こうしたビジョンのもと、Santenの将来への計画や展望をお二人に伺った。「事業面では大きく二つの軸での展開を考えています。第一が、既存の事業である眼科治療の貢献です。疾患でいうと緑内障やドライアイ、感染症がメインとなりますが、薬物治療における貢献に加えて、アジアの人々に対する眼疾患の啓発や眼科医・眼科施設のケーパビリティの向上、治療継続のためのコンプライアンスツール開発など、まだまだ我々が眼科医療へ貢献できる余地は大きいと考えます。
第二が、新たな製品開発やチャネル開拓です。例えば、現在の点眼剤を中心とした製品ラインアップに加えてサージカルデバイス事業を立ち上げることや、先ほどのPlanoとの連携を活かして今後は近視領域へも事業を拡大できると考えています。またアジアの患者さんは、眼科以外の医療機関や薬局などで眼も含めたプライマリーケアを行うケースが多いので、我々もより多くの医療関係者へアクセスを拡大していくことが必要と考えます。国の軸では、インドやインドネシアといった新興国での事業拡大も検討しています」(吉田氏)。「研究開発面では、SERIとの共同研究プロジェクトは2022年の3月でいったん終了します。しかし、現行プロジェクトで研究成果が出てきているので、次の展開を検討中です。今後は、シンガポールでの共同研究のさらなる発展を目指し、SERIとの関係を強化していきます。また、他の研究機関、たとえば、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)やシンガポール国立大学(NUS)、南洋理工大学(NTU)などとの連携を模索し、アジアにおけるSanten独自の眼科研究開発ハブの構築を行い、有用な製品の開発を通じて患者さんや社会に貢献したいと思います」(景山氏)。
Santenのシンガポールでの取り組みが世界の眼科治療に貢献しそうだ。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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