同人材開発相は集会に参加した700名の企業役員に対し、短期的な対策としての柔軟な措置であり長期雇用をもたらさないようにするには、企業がシンガポール人の技能開発計画を持つべきであるとも語りました。
大半の条件を満たす場合、関係政府機関は管理・専門職向けの雇用許可証であるエンプロイメント・パス(EP)審査の際に多少の融通を利かせることができるといいます。EP保有者となるには最低月収が3,600SGD(29万1,600円)あり、大学卒業以上の学歴もしくは専門スキルがあることが条件となっています。人材開発省(MOM)は、シンガポール経済開発庁(EDB)、国家研究財団(NRF)、情報通信メディア開発庁(IMDA)と連携してこの取り組みを行っており、今後エンタープライズ・シンガポールとも協力していく予定です。同人材開発相は企業雇用主らに対し「特に、企業の変革に必要かつシンガポールで不足しているスキルを持つ外国人高度人材にはいつでも門戸を開放している」と強調しました。
同人材開発相とジョセフィン・テオ(Josephine Teo)第二人材開発相は、国会の予算審議にて発表された措置についても話しました。リム人材開発相は、Sパス(中技能向け労働許可証)保持者の給与条件を引き上げるなど外国人労働者政策の厳格化に関する議論が行われた後に、一部の雇用主から、シンガポール人で適した人材を見つけられないため、コストアップにつながるという懸念が挙げられたと紹介しました。
また、特に人工知能、サイバーセキュリティ、データ分析などのハイテク分野においてシンガポール人の人材不足が懸念されていることを認め、能力移転プログラム(CTP)やリーン・エンタープライズ・デベロップメント(LED)スキームなどにより、企業の過渡期において地元スタッフを育成できるように外国人労働者を必要とする雇用主を支援できると語りました。さらに、シンガポール全国雇用者連盟(SNEF)が主催するイベントにて、外国人労働者に関する政策は、人材とビジネス双方に有益なものであることが必須だと述べました。
企業は変革・成長を実現する必要がありますが、地元の人材を犠牲にすることは望ましくありません。そのため、企業は労働者、特に外国人への依存を低減する必要があるとリム人材開発相は強調しました。近年、外国人労働者の増加を抑えるため、EP要件が厳しくなっています。同人材開発相によると、新規EP申請の承認率は約80%で安定しており、過去3年間は年間平均約5万件となっています。一方、年間それと同等の件数が未更新となっています。
「外国人労働者から得られる経済的利益を最大限に活用すると同時に社会的苦痛を最小限に抑えられるような外国人労働者政策の設計に最善を尽くしています」と同大臣は述べています。
テオ第二人材開発相は、求職者を雇い入れてスキルを向上させるために政府が主導している「適応・成長」イニシアチブも、適した地元スタッフを見つける上で役立っていると言い、昨年雇用された2万5千人以上の求職者の半数以上が、ビジネスに必要とされる専門家、経営者、役員、技術者であったと語りました。
非公開の会談後、SNEF会長のロバート・ヤップ(Robert Yap)氏は、大小企業の雇用主がCTPなど人材開発省の能力開発イニシアチブを活用することに意欲的だと語り、さらに「雇用主は、外国人労働者政策はまだ発展途上であり、高水準の外国人を雇用して地元の労働力を補完する必要性を理解しています」と述べました。
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1シンガポールドル(SGD)=81円(2018年3月22日現在)