R&Dと製造の一体型拠点としての発展
HOYAが、半導体製造に不可欠なマスクブランクスに特化した拠点HOYA Electronics Singaporeを設立したのは2011年。以来この拠点は、研究開発と製造の両機能を担う中核拠点として発展を続け、次世代半導体材料の開発に加え、AIによる欠陥検出やスマート製造などの分野にも積極的に取り組んでいる。
同拠点の従業員数は、設立当初から約3倍に増加、開発・エンジニアリング関連の人材も、2014年時点で全体の23%だったのが、2023年には31%へと拡大した。こうした成長は、シンガポールという地を拠点に選んだことで可能になったと言っても過言ではない。
たとえば、シンガポールは研究施設や製造工場、工業団地などが地理的に近接している。そのため、HOYAにおいても試作品の開発や製品開発のスピードが大幅に向上した。
また、産学官を横断した連携のスムーズさもシンガポールの強みであり、HOYAも有力な研究機関と共同開発を進めている。一例として、2024年からは南洋理工大学(NTU)と連携し、同大学が有する薄膜材料やAIシミュレーションなどの知見を活用した共同研究を推進。半導体業界が直面する複雑かつ高度な技術課題の解決に取り組んでいる。
さらに、シンガポール経済開発庁(EDB)による支援プログラムを活用することで、ディープテックや半導体分野での研究開発を着実に前進させている。
このようにHOYA Electronics Singaporeは、技術や知見、制度といったシンガポールのエコシステムを背景に、着実な成長を遂げている。