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2018年の暮れ、シンガポールで初の電気自動車を製造するというダイソン（Dyson）の計画を受け、現在、その他の環境に優しい車のメーカーとの間で、シンガポールへの工場進出に向けた交渉を行っているところです。
2019/08/15
シンガポールがなぜ炭素税を導入しなければならないのかという質問に答えるシンガポール経済開発庁のチュン・カイフォン（Chng Kai Fong）次官。 「そうするしかありません。シンガポールの義務、持続可能な環境、経済成長はトレードオフの関係にあるからです」 。 写真提供：リアン・ザオバオ
シンガポール経済開発庁(EDB)によると、シンガポールは、自由貿易協定、極めて熟練度の高い労働者や、業界にとって欠かせない知的財産の厳格な保護を通じ、グローバル市場とのつながりを売り込んでいます。
「EDBが誘致できるのは、この1社だけではないと期待している」。インタビューに応じたチュン・カイフォン（Chng Kai Fong）次官は、ダイソンの計画について触れ、このように語ります。
「その他何社かとも活発な交渉や議論を進めています。クラスターを構築するという考え方です」 。
他の電気自動車メーカーも誘致できれば、この産業分野にスケールが生まれ、それによって国内での自動走行車の開発にも拍車がかかることになるでしょう。
ハイテク・ロボット工学やオートメーションのほか、サプライチェーンマネジメントやグローバル市場との接続性も活用すれば、シンガポールの人件費の高さに対する懸念の払拭にも役立つ可能性があります。
「労働よりも資本のほうが重要になります」 。同次官は、EDBが「ブリッジ・フォーラム」を含む2つのテクノロジー関連の会議を主催したサンフランシスコで、このように述べました。「それこそ、シンガポールの強みとなります」。
ドライヤーや掃除機を主力製品とする非上場企業ダイソンは2018年10月、2019年までに工場を完成させる計画であることを発表しましたが、自動車業界進出に向けた35億SGD（約2,773億円）の投資の一環として、2021年までに最初の電気自動車を上市することを目標としています。
2019年の初め、億万長者の発明家ジェイムス・ダイソン（James Dyson）氏は、アジアでの事業の重要性が増していることに鑑み、その本社を英国からシンガポールに移すことを発表し大きな賭けに出ました。
シンガポールに自動車メーカーの工場はなく、自動車の値段も世界で最も高い国の一つとなっています。電気自動車メーカーの受けもあまりよくありません。
テスラ（Tesla）のCEOイーロン・マスク（Elon Musk）氏は2019年1月、シンガポールがテスラを歓迎していないとツイートし、シンガポール政府が電気自動車を支援していないという、それまでの同氏の主張を更にに強めました。
同氏は、テスラがなぜ東南アジアの国に拠点を置いていないのかと尋ねるツイートに対し回答したのでした。
同氏は2018年5月にも、テスラはシンガポールで車を生産しようとしたが、政府が電気自動車に対して「支援的でなかった」ことから不発に終わったと述べていました。
また、シンガポールは炭素税の導入についても、一部企業から反発を買っています。
政府は、パリ協定に基づく義務を果たすために必要だとしているが、それによって他のアジア市場よりもコストが高くなることは間違いなでしょう。
「炭素はますます大きな制約要素になるでしょう」と同次官は語ります。「しかし、そうしなければなりません。シンガポールの義務、持続可能な環境、そして経済成長は、トレードオフの関係にあるからです」。
※1シンガポールドル（SGD）=79.24円、1米ドル（USD）=108.21円（2019年7月24日現在）
出典：シンガポールプレスホールディングス（SPH）
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