そんな次世代製造技術のハブともいえる存在がジュロンイノベーション地区だ。ここでは、大学や研究機関、企業が連携し新たなイノベーションを生み出すための豊富なエコシステムを実現している。
インダストリー4.0実現のためのイノベーションハブ
ジュロンイノベーション地区は、インダストリー4.0を実現するために作られたイノベーションハブだ。緑あふれる600ヘクタールにも及ぶ広大なビジネスパークには、公的研究機関、大学、企業によるコミュニティが形成され、さまざまな開発コラボレーションが行われている。5つの区画で構成されており、才能とトレーニング、研究開発、テクノロジープロバイダー、未来の工場という4つの分野に分かれている。才能とトレーニングの分野では南洋理工大学とBosch Rexrothのトレーニングセンターがある。ここでは開発のための人材を集めたり、先進的な製造業のトレーニングなどを行うことが可能だ。特にトレーニングではその企業に合った最先端のテクノロジーのトレーニングコンテンツを共同開発し講師やメンターの派遣などもできる。一方研究開発の分野では、シンガポール科学技術研究庁(以下、A * STAR)の3つの研究機関とDigital Capability Centerシンガポールが存在する。A * STARの研究機関の一つ、Advanced Remanufacturing and Technology Center(ARTC)は高度な製造と再製造に焦点を当てた研究開発が行われ、グローバルな多国籍企業から中小企業に至る80を超える企業で構成される。またシンガポール製造技術研究所(SIMTECH)は自動化などによる新たな製造プロセスと製造システムの実証実験が行われ、精密工学、医療機器、航空宇宙、自動車、船舶、石油・ガス、電子機器、半導体、ロジスティクス、など様々な業界における高付加価値製造の研究が中心である。そして国立計測センター(NMC)は次世代製造技術やクリーンエネルギー、ナノテクノロジー、輸送、医療技術などにおける測定基準の確立など、新しい技術革新を可能にするために測定科学の研究開発を行っている。