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次世代製造のためのイノベーションハブ ジュロンイノベーション地区

Introduction to JID

  • BRIDGE Magazine

シンガポールのGDPのうち約20%を占める製造業。今シンガポールの製造業は新たな次世代製造技術によって大きな進化を遂げようとしている。ロボティクスや3Dプリンティングといった自動化技術と、人工知能(AI)やIoTといったデジタル技術によって、製造業の生産効率は大きく向上し、企業競争力を強化することができる。

そんな次世代製造技術のハブともいえる存在がジュロンイノベーション地区だ。ここでは、大学や研究機関、企業が連携し新たなイノベーションを生み出すための豊富なエコシステムを実現している。

 

インダストリー4.0実現のためのイノベーションハブ

ジュロンイノベーション地区は、インダストリー4.0を実現するために作られたイノベーションハブだ。緑あふれる600ヘクタールにも及ぶ広大なビジネスパークには、公的研究機関、大学、企業によるコミュニティが形成され、さまざまな開発コラボレーションが行われている。5つの区画で構成されており、才能とトレーニング、研究開発、テクノロジープロバイダー、未来の工場という4つの分野に分かれている。才能とトレーニングの分野では南洋理工大学とBosch Rexrothのトレーニングセンターがある。ここでは開発のための人材を集めたり、先進的な製造業のトレーニングなどを行うことが可能だ。特にトレーニングではその企業に合った最先端のテクノロジーのトレーニングコンテンツを共同開発し講師やメンターの派遣などもできる。一方研究開発の分野では、シンガポール科学技術研究庁(以下、A * STAR)の3つの研究機関とDigital Capability Centerシンガポールが存在する。A * STARの研究機関の一つ、Advanced Remanufacturing and Technology Center(ARTC)は高度な製造と再製造に焦点を当てた研究開発が行われ、グローバルな多国籍企業から中小企業に至る80を超える企業で構成される。またシンガポール製造技術研究所(SIMTECH)は自動化などによる新たな製造プロセスと製造システムの実証実験が行われ、精密工学、医療機器、航空宇宙、自動車、船舶、石油・ガス、電子機器、半導体、ロジスティクス、など様々な業界における高付加価値製造の研究が中心である。そして国立計測センター(NMC)は次世代製造技術やクリーンエネルギー、ナノテクノロジー、輸送、医療技術などにおける測定基準の確立など、新しい技術革新を可能にするために測定科学の研究開発を行っている。

テクノロジープロバイダー:ソディックの金属3Dプリンタ

ジュロンイノベーション地区を担う4分野のうちの一つがテクノロジープロバイダーの存在だ。テクノロジープロバイダーは次世代製造技術をコミュニティに提供し、新たな製造プロセスの確立や製品開発などをともに行ってくれる。現在テクノロジープロバイダーは3社から構成されている。ISDN SoftwareはIoTや制御コントロールなどインダストリー4.0を実現するためのソリューション提供を行う。またシーメンスのAdvance Manufacturing Transformation Center(AMTC)は、企業が次世代製造技術を導入する際のガイダンス、サポート、トレーニングなどを提供してくれる。そして今回フォーカスするソディックはアディティブ・マニュファクチャリング(3Dプリンティング)に関するソリューションを提供する。ソディックは日本を代表する工作機械メーカーで、2014年以降金属3Dプリンタを発表し、グローバルマーケットへと進出を果たしている。このソディックのシンガポール「テクノ・センター」は、金属3Dプリンタを使用した最先端技術による金型製作の受託加工やコンサルティング・販売サポート・メンテナンス業務を提供している。ここでは業界向けの積層造形ソリューションに関するセミナーやコースが提供されるだけではなく、ソディックの金属3Dプリンタを中心に射出成型機などが展示されており、アディティブマニュファクチャリングに関心のある企業は、ソディックと協力して新しいアイデアやコンセプトの開発、さらには試作テスト、導入までを行うことができる。金属3Dプリンタを導入することで多品種少量のカスタマイズ生産が可能になり、デジタルを中心としたオンデマンドの試作・製造が実現可能だ。またソディックテクノ・センターの近くには南洋理工大学やA * StarのAdvanced Remanufacturing and Technology Center(ARTC)などがあり、人材へすぐさまアクセスし共同研究開発も行うことができる。シマノの代表取締役社長島野容三氏は次のように述べている。「シンガポールは、戦略的立地、優れたインフラ、質の高い労働力、政治的・社会的安定性から、当社の未来の工場の設立に最適な場所です。ジュロン・イノベーション・ディストリクトに建設される当社の最も先進的な製造施設では、お客様のために革新的でエキサイティングな新しいソリューションを創造し、価値創造企業としての存在感を高めていきたいと考えています。」

写真:株式会社ソディック
写真:株式会社シマノ

シマノの未来の工場 スマートファクトリー

4つの分野の最後にご紹介するのが“未来の工場”だ。未来の工場はシマノを中心にご紹介していくが、シマノは1973年からシンガポールに進出する企業だが、ジュロンイノベーション地区に作られたこの工場は、デジタルやロボティクス、モニタリングによってコントロールされた最先端のスマートファクトリーである。未来の工場では、スマートセンサーによって生産工程がデータ化され、集積されたビッグデータを使ってリアルタイムに生産効率が分析され改善が行われる。また各プロセスには可能な限りロボットと自律型無人搬送車が組み込こまれており生産プロセスの自動化によって人による労働依存を下げることに成功している。こうしたデジタル化と自動化によって圧倒的に効率化された未来の工場は、生産効率を高めるだけではなく、シマノのサイクリング事業におけるR&Dハブとしての役割も果たすこととなる。例えばウェアラブルテクノロジーと自転車の統合や、サイクリング用アパレル製品の開発のための特別な素材の使用など、新たな製品開発やソリューションの研究が行われる。このスマートファクトリーはシマノで初めてのインテリジェント工場となる試みだが、高度にデジタル化、自動化された工場では、新たなスキルを持つ人材も必要だ。シマノではスタッフを継続的に育成し、スマートファクトリーに最適な能力を発揮する体系的なトレーニングを実施し、高度人材を増やしていく方向にある。そしてこうした人材育成や研究開発を行う場としてもジュロンイノベーション地区は最適な場所といえる。ソディックシンガポールのエグゼクティブディレクターダニエル・タン氏は以下のように述べている。「シンガポールと、この地域の先進的な製造業は成長してきており、今後もさらに成長していくことが予想されます。そして、進化する製造部門とビジネスニーズをサポートするためのイノベーションとブレークスルーが求められています。ジュロン・イノベーション地区とそのエコシステムは、これをサポートするためのリソースを提供することができます。」

将来95,000を超える仕事を生む

これまでご紹介してきたように、ジュロンイノベーション地区では人材と研究開発、テクノロジープロバイダー、未来の工場などが必要に応じて連携するイノベーションのエコシステムが整っている。また、ジュロンイノベーション地区はビジネスパークとして快適な環境、ロジスティクスが整備されており、エコガーデンやブリムパーク、ダイニングやショッピングスポットなどが整っており、ワークショップやフェスティバルなども開催される。このハイテクとエコが調和したジュロンイノベーション地区が完成した際には、研究開発、イノベーション、高度な製造活動において将来約95,000の新しい仕事がもたらされると推定されている。一大ハブとして新たな時代の産業と多くの雇用を生み出すだろう。

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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