【JS経済特区】越境経済特区に企業が関心
三井住友銀、大型案件に存在感

【JS経済特区】越境経済特区に企業が関心

三井住友銀、大型案件に存在感

マレーシアとシンガポール両政府がマレーシア南部ジョホール州で開発を計画する「ジョホール・シンガポール経済特区(JS―SEZ)」は、大企業を中心に投資への関心が高まりつつある。三井住友銀行のマレーシア法人はこれまで、同経済特区に投資する企業に対し計15億米ドル(約2,420億円)を融資した。政府の計画具体化に伴い、投資の勢いはさらに強まる可能性がある。


Man in a suit speaking during an interview.

「日本企業からの問い合わせが増えている」と話すマレーシア三井住友銀行の塩尻篤秀・社長兼CEO=24日、東京(NNA撮影)

両政府は25年1月にJS―SEZの設立に向けて最終合意した。シンガポールの約5倍に相当する3,588平方キロメートルを対象地域に設定。製造や物流、エネルギー、金融サービス、ヘルスケアなど11分野を重点的な投資誘致分野とし、雇用創出や両国間のヒト・モノの移動の円滑化を図る。
 

石化・データセンター向け大型融資

三井住友銀行のマレーシア法人、マレーシア三井住友銀行は25年5月にマレーシア経済省からJS―SEZ推進の「戦略的共同パートナー」に指定された。

今月24日に東京都内で開かれたJS―SEZに関するセミナーに出席した塩尻篤秀・社長兼最高経営責任者(CEO)は、NNAの取材で「複数の大規模な事業が進んでいる」と現地の状況を説明した。

マレーシア三井住友銀行はこれまでに日・米・欧・アジアの企業向けに計15億米ドルを融資。石油化学やバイオリファイナリー、データセンター、物流施設など1件当たりの規模が大きいことが特徴だ。「目標額は定めていないが、今後も同様のペースで融資を継続したい」と塩尻氏は話す。

日本企業からの問い合わせも増えている。現在は週に数件程度のペースで新規進出に関する相談を受けている。データセンターへの資材供給や半導体関連、化学品関連の企業が多いという。
 

マスタープラン発表の遅れ、投資判断の課題に

新経済特区の計画に関心が高まりつつある中、留意すべき点もある。政府はJS―SEZの青写真(ブループリント)とマスタープラン(基本計画)を今年3月末までに明らかにするとしていたが、発表が遅れている。

セミナーに出席したマレーシア投資開発庁(MIDA)東京事務所のイズラン・アブドゥラ所長は、「JS―SEZ計画の重要性を考え、われわれはマスタープランが包括的かつ十分に整合性の取れたものになるよう万全を期したい。必要な確認と承認が完了次第、公表される予定だ」と述べた。

行政による計画や手続きの遅れは、企業の投資判断を揺るがしかねない。塩尻氏は「マスタープランの早期の発表を待っている。それにより問い合わせや投資に弾みがつく」と話した。
 

Map showing key areas and industries in the Johor-Singapore Special Economic Zone.
住友商事、ヘルスケアやエネ分野で協議

JS―SEZの開発計画では、住友商事も参画の可能性を模索している。マレーシアの現地法人であるマレーシア住友商事会社は25年9月、ジョホール州政府系投資会社ジョホール・コーポレーション(Jコープ)と2件の覚書を締結した。
 

Man in a suit speaking during an interview, with a tablet in front of him.

マレーシア住友商事会社の松井智嗣・社長兼CEOは、「われわれの持つ知見を生かして新しい取り組みに挑戦したい」と意欲を燃やす=24日、東京(NNA撮影)

1件目の覚書は、Jコープの不動産・インフラ開発部門Jランド・グループとともに、JS―SEZの対象地域で工業団地開発やヘルスケアに特化したエコシステムの構築を模索する内容だ。

住友商事はすでにマレーシアでマネージドケア事業(医療機関・企業・民間医療保険会社に対し、医療費請求管理や総合的な医療サービスを提供する事業)やクリニック運営を手がけている。セミナーに出席したマレーシア住友商事会社の松井智嗣・社長兼CEOは、「JS―SEZではクリニック運営での知見を生かし、統合ウェルネス拠点やリハビリ施設、シンガポールからジョホールへの越境医療といった新しい取り組みも含めどのような新しいビジネスが可能かJコープと協議していきたい」と明かした。

2件目の覚書では、再生可能エネルギーや給水、地域冷房システムなど、クリーンエネルギーに関するインフラ整備に焦点を当てている。松井氏は「データセンター群を一括で冷却する地域冷房のコンセプトをはじめ、さまざまな可能性を検討している」と述べ、Jコープとの今後の協業に意欲を示した。
 

投資機会セミナー、大阪と東京で開催

セミナーはマレーシア投資開発庁、Jランド・グループ、住友商事、三井住友銀行が共催した。「ジョホール・シンガポール経済特区(JS―SEZ)への投資機会」と題し、22日に大阪、24日に東京で開催した。

セミナーでは三井住友銀行がマレーシアとジョホール州の経済状況について概説。マレーシア投資開発庁は、法人税減免などの優遇措置を中心に投資環境を紹介した。Jランド・グループは、JS―SEZでの主要開発地区「イブラヒム・テクノポリス(IBTEC)」の開発状況を説明しながら投資を呼びかけた。

シンガポールからはシンガポール経済開発庁(EDB)の担当者が登壇。同国とジョホール州にそれぞれ拠点を置く日系企業の事例を紹介した。

22日は日本貿易振興機構(ジェトロ)が、同志国やグローバルサウス諸国と日本の連携をテーマに基調講演を行った。
 

Audience attending a presentation in a conference hall.

セミナーは6月22日に大阪、24日に東京で開催された=24日、東京(NNA撮影)

出典:NNA 2026年6月30日付記事

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