デジタルヘルスの技術革新で医療アクセスの改善を 〜Medtronic Vice President for Global Commercial Operations & Customer Experience ダイアナ・タン(Diana Tang)氏〜
私たちは70年以上にわたり人類の健康課題と向き合い、ヘルスケア業界を牽引してきた企業です。心臓ペースメーカや糖尿病治療のためのインスリンポンプ、手術支援ロボット、外科用手術機器、患者モニタリングシステムなど、人々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす、多様な医療機器を提供してきました。
そんなMedtronicがいま特に力を入れているのが、急速に発展するデジタル技術を医療に活用するデジタルヘルス領域、つまりヘルスケアとテクノロジーを融合したソリューションの開発です。例えば、日本初のリードレスペースメーカもそのうちの一つです。従来のペースメーカのように皮下に植え込まず、カテーテルで心臓内に本体を送り込むことができるため、植え込みによる合併症のリスクがありません。さらに、電気信号を送るリードが本体と一体化されているため、リードの断線の心配もありません。
日本では2017年に保険適用になるなど、世界で多くの患者さんの不整脈治療に役立てられてきました。そんなMedtronicのペースメーカもさらに進化し、2022年に日本で発売された新型ペースメーカは、心室内から心房の動きを検出する独自のアルゴリズムを搭載。これにより、正常な心臓収縮により近いペーシング療法を提供できるようになりました。
また、手術映像を分析し治療改善に活用するシステム「Touch Surgery Enterprise」も構築し、すでに数カ国で導入が始まっています。こうした技術により医療ビッグデータの活用が進めば、医療の質のばらつきの低減にも貢献できると考えています。 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、医療従事者が患者さんに遠隔で医療サービスやバーチャルケアを提供するための遠隔機器管理技術の開発を加速させてきましたが、そんな2021年初め、会長兼CEOのジェフ・マーサ(Geoffrey Martha)がある大胆な発表をしました。
それは、ヘルスケアテクノロジー業界の世界のリーダーになるというもので、デジタルヘルスソリューションにより患者さんの医療へのアクセスを改善することが最大の目的です。「すべての人が住む場所に関係なく、最適な医療にアクセスできる」私たちが目指すのはそんな世界で、デジタルヘルスソリューションをはじめとする医療技術の革新により、近い将来必ず実現できると信じています。そして革新の第一歩は、私たちが拠点を置くシンガポールですでに始まっているのです。