日本・シンガポール国交100年に向けて〜EDBからのメッセージ〜

また、多くの日本企業の皆様の成功の一助となるべく努めさせて頂きますこと、大変嬉しく思っております。日本企業の皆様が新しい革新的な製品、サービス、ビジネスができるように、シンガポールは屈指のイノベーション・エコシステムの確立に邁進してきました。そうした取り組みが実を結び、鹿島建設株式会社様は2020年8月、1億SGDを投じてオフィスと研究施設を兼ね備えた自社ビルのカジマ・グローバル・ハブ（KGH）の建設に着手し、2030年完成予定です。アジア太平洋地域の本部として、また初の海外イノベーションセンターとして機能するということで、完成を心待ちにしています。

シンガポールは、古くから物流・海上貿易のハブとして発展してきました。その立地の良さから、日本企業の皆様が東南アジア市場にアクセスするための拠点や、イノベーション活動に最適な場所でもあります。血圧計のグローバル企業であるオムロンヘルスケア株式会社様は、シンガポールのモバイル開発企業iApp社との合弁会社として、遠隔診療サービスを含む統合的なデジタルヘルスソリューション開発を手掛ける新会社HeartVoice Pte.,Ltd.を2019年2月に設立しています。いまではシンガポール国内に限らず、東南アジアにサービスの提供を拡大しています。

さらに、自転車部品メーカーの株式会社シマノ様は、インダストリー4.0を実現するために作られたイノベーションハブ「ジュロン・イノベーション地区」に、自己最適化を可能にするリアルタイム分析を活用したスマートファクトリー「未来の工場」を建設中で、2022年末までに稼働を開始する予定です。シンガポールは、製造業のハブとしての強みも維持しており、製造業の変革、革新、成長を引き続き支援させて頂いています。

また、グローバルな存在感の拡大、東南アジアにおけるグリーン成長戦略を推進するための新たな能力の開発、そして、より環境的に持続可能なビジネスへの変革を求める日本企業の皆様にとって、シンガポールは理想的な場所であると考えています。すでに、機械装置メーカーである川崎重工業株式会社様は、シンガポールのコングリマリットであるKeppel社などとともに脱炭素社会の実現に向けた技術開発に取り組まれています。二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーである水素を電力の燃料としてシンガポールに導入するために、液化水素供給インフラの検討とコンセプト開発を2021年から共同で開始しているのです。

私たちは、日本企業の皆様とのパートナーシップをさらに強固なものにするとともに、未来志向に立って考え、新たな協力関係を築くことを楽しみにしています。デジタル経済、気候変動の緩和、イノベーションといった共通の関心事における協力を、さらに強く大きな力で進めて行きたいと思っております。

国交100年に向けて、これからも幅広い分野で日本とシンガポールの関係が一層発展しますよう、皆さまのご支援とご協力を賜りたく、今後ともよろしくお願い申し上げます。

ライオネル・リム 
テクノロジーハードウエア・機器産業担当
日本・韓国地区担当
部長兼バイス・プレジデント

シンガポール・南洋理工大学で電子電気工学の学士号を取得。2009年3月、EDB入庁。日本・韓国地区担当、情報通信・メディア産業担当部長代理に就任、主にテクノロジー企業および情報通信企業の産業投資を推進。2011年〜2014年、韓国事務所所長として、韓国企業とのビジネス交流を通してシンガポールへの事業展開の促進に取り組む。2014年〜2017年、東京を拠点に日本・韓国事務所の代表を務める。現在はテクノロジーハードウエア・機器産業担当、および日本・韓国地区担当の部長兼バイス・プレジデントとして、EDBが取り組む日本と韓国における全事業を統括している。