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サプライチェーンの強靭化に取り組む企業に役立つ ポケットガイド『シンガポールが拓く 製造業の未来』

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製造業がGDPの約20%を占めるシンガポールは長年、多国籍企業の自国への進出をサポートし、シマノやオムロンなど日本の大手メーカーも著しい活動を見せている。『シンガポールが拓く 製造業の未来』は、そうした実績やシンガポールの製造業の最新情報をまとめたポケットガイドだ。自然災害や地政学リスクの高まりからサプライチェーンの強靭化に取り組む企業が増えるいま、シンガポールがどのようにサポートできるかについてもお伝えする。 ※ポケットガイド『シンガポールが拓く 製造業の未来』はこちら

シンガポールは世界有数の先進的製造拠点

シンガポールでは、国内総生産(GDP)の約20%を占める製造業が長年産業の柱であり続けている。例えば、半導体市場においてシンガポールは世界のシェアの11%を占め、また、世界で流通する半導体製造装置のおよそ5分の1が国内で製造されている。その製造業をさらに盛り上げようと、シンガポールはこの数十年間、イノベーションに積極的に取り組み、貿易や製造のパートナーとの連携を深めてきた。

その結果、航空宇宙や半導体、バイオ医療の分野で世界をリードするなど、シンガポールの製造業は活況だ。国際機関の世界経済フォーラムが、各国が新しい生産パラダイムにいかに対応しているかを調査した「Readiness for the Future of Production Report」(2018)でシンガポールは世界第2位にランクイン。武田薬品工業や三井化学など多くの日本のメーカーが拠点を設置している。

魅力① 強固なインフラ

国土は決して広くないが、シンガポールにはたくさんの商業・産業・イノベーション地区が整備されている。

例えば、アジアのインダストリー4.0推進の中心地であるジュロンイノベーション地区(JID)は、先進的な製造エコシステムを持つ。メーカーはそれを活用することで、新製品の試作から試験、生産立ち上げ、流通まで一貫して行うことが可能だ。

牧野フライス製作所のシンガポール現地法人であるマキノ・アジアは、JIDのエコシステムを活用するとともに、シンガポールの名門国立大学の南洋理工大学とのコラボレーションを通じて、研究時間を1年短縮。設備投資を100万SGD(約1億1,000万円)近くも節約した。

ほかにも、先進的なデジタル技術を活用したシンガポール初のスマートビジネス地区「プンゴルデジタル地区(PDD)」や、高付加価値・知識集約型の活動に特化した6つの工業団地があり、メーカーのさまざまなニーズに応えている。
 

魅力② 高度なスキルと適応力を持った人材

シンガポールには高付加価値な製品を生産するために必要な、高度なスキルと適応力を持つ人材が豊富だ。というのも、シンガポール政府と企業は共同で人材育成のためのプログラムをいくつも実施し、労働者が継続的にスキルアップできるように後押ししているからである。

その一つ「SkillsFuture Singapore」では、先進製造やサイバーセキュリティなど8つの分野で400以上のコースを新設し、スキルトレーニングに年間12億SGD(約1,320億円/2021年)を投資。スキル向上のための研修やトレーニングを労働者に提供している。

そうした努力が実り、ビジネススクールのINSEADによる人材競争力に関する国際調査レポート「The Global Talent Competitiveness Index」(2023)では、「高度なスキル」と「人材影響力」の項目で世界1位の評価を受けた。
 

魅力③ 大手グローバルメーカーの広範なネットワーク

シンガポールは国を挙げてインダストリー4.0を推進しているため、メーカーが最先端技術の利用や開発を行いやすい環境が整っている。そのため各企業で、オートメーション、先進の分析技術、データ制御のシステムなど最先端ソリューションの導入が進み、生産性向上と成長を果たしてきた。

そうしてシンガポールの製造業全体で高度化が進んだ結果、2020年には医薬品、電気機械、科学機器などのハイテク製品で世界5位の輸出国になった。

さらに、インダストリー4.0のテクノロジーを先行して導入した内外のメーカーが、その専門知識やノウハウを他のメーカーに共有するなど、国内の製造エコシステムを活気づけている。そのことにより、国内製造業の成長が促されるとともにバリューチェーン全体の底上げが実現している。シンガポールは、数多くの大手メーカーがネットワークを張り巡らせる製造業の一大拠点となっている。
 

魅力④ テクノロジーとイノベーションにおける世界とアジアの交差点

シンガポールには4,000社を超えるテック系スタートアップ企業が存在する。そして、企業間のパートナーシップを仲介するプラットフォームが豊富だ。そのため、ITソリューションを求めるグローバルメーカーは、最先端テクノロジーの開発によりソリューションを提供するスタートアップ企業とのつながりを容易に持つことができる。

また、シンガポールにはサービス提供を行うテクノロジープロバイダーおよびソリューションプロバイダーが多数存在する。そのため、例えばオムロンなどソリューションを開発する企業は、プロバイダーとの連携により、国内およびアジア太平洋地域内のクライアントにカスタムされたソリューションをスムーズに提供できている。

さらに、研究開発エコシステムも発展している。資金提供や官民連携の促進を行う国家プログラム「National Robotics Programme(NRP)」は、ロボティクス技術を研究開発する企業を支援。科学技術研究の中心的組織であるシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)が主導する「Advanced Remanufacturing and Technology Centre(ARTC)」は、インダストリー4.0のモデル工場を設立するなどして、先進製造に関する研究の産業への応用を促進している。

そうした環境が整うシンガポールには、デジタルトランスフォーメーションを通じて生産性の向上を目指すメーカーが数多く集まり、業界全体が活気を帯びている。
 

魅力⑤ アジア市場との強いつながり

27の自由貿易協定(FTA)を締結し、120カ国以上、およそ600の港と結ばれているシンガポールは、アジア市場そして世界市場と強固につながっている。

そのため、例えば、地域統括本部をシンガポールに置き、生産子会社を価格競争力のあるASEAN諸国に置くビジネスモデル「SG+ Twinning Model」を採用すれば、シンガポールの有利なビジネス環境と、マレーシアのジョホール、インドネシアのバタム島・ビンタン島・カリムン島(BBK)など近隣にある製造拠点の、双方の強みを活用することができる。

また、シンガポール経済開発庁(EDB)と東南アジアで工業団地を運営する民間企業数社による連携「東南アジア製造業同盟(SMA)」は、メーカーの生産拠点の分散化を支援。各種優遇措置が設けられ、アジア太平洋地域内の事業拡大に活用することができる。

ポケットガイド『シンガポールが拓く 製造業の未来』にはこのほか、シンガポールでの事業の立ち上げや、事業を拡大する際に役立つ情報が豊富に掲載されています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
 

*1シンガポールドル(SGD)= 約110円(2024年2月1日時点)

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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