Q: GSKがシンガポールに進出した理由について教えてください。
A: GSKは1959年にシンガポールに拠点をつくりました。グローバルヘルスケア企業の中では、最初にシンガポールに進出した企業です。小さな営業所からスタートした私たちは、25億SGD(約2,500億円)以上の投資を行い、シンガポールの医療システムとバイオメディカル・サイエンス産業に最も貢献する企業の一つに成長しました。現在、新興市場およびアジア太平洋地域のバイオ医薬品事業の地域本部であるAsia Houseと製造拠点だけでも、シンガポール内のグローバル、リージョナル、ローカルの各ビジネスユニットで、1500人以上の従業員を雇用しています。
私たちがシンガポールに進出したのにはいくつかの戦略的な理由があります。まず、シンガポールには素晴らしいビジネス環境が整っています。ビジネスとイノベーションを推進する政策、高度なインフラ、確立された法律と知的財産制度。そして、非常に高いスキルを持つ労働力や、国内外の才能ある人材を惹きつける魅力があるのです。また、地理的に、アジア全域の市場へのアクセスが容易なのも重要なポイントです。
シンガポールでの事業展開で、私が誇りに思うことの一つが、GSKの製造拠点です。例えば、シンガポールの南西部に位置する工業地域ジュロンでは、常に最先端の製造技術を導入し、多くの新薬の製造が、他のグローバル拠点よりも早く、まずはここからスタートします。また、西部のトゥアスでは、小児死亡の原因となる世界中の疾患のうち、約45%をカバーするワクチンを2種類製造しています。これは、当社のグローバル・ヘルス・アジェンダにも大きく寄与しています。
シンガポールには、当社のグローバルビジネスおよび地域事業の本部が多く置かれています。これは、重要な意思決定がシンガポールで行われ、その決定が、世界各国の支部のオペレーションにも影響を与えることを意味します。
Q: シンガポールでのチームづくりを検討している企業に対して、アドバイスはありますか。
A: 現在、シンガポールのGSK Asia Houseでは、40近くの国籍の方が働いています。本当に、多様な人材が集まっているのです。私は、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まることはとても重要だと考えています。なぜなら、私が担当する地域は非常に多様で、GSKの社員は、当社のサービスを多種多様な患者様やお客様へ提供する必要があるからです。シンガポールの人々の素晴らしいところは、もともと国際的な視点を備えていることです。彼らは国際都市シンガポールで育まれ、高い適応力が養われています。そのため、異なる文化や国籍の人々と、スムーズに意思疎通ができるのです。
シンガポールにチームをつくることは、企業にとって賢明な選択だといえます。シンガポールは、先述の通りビジネスがしやすいうえに、他の市場へのアクセスや、関係性も良好です。魅力的なグローバル人材と、簡単に接点を持つこともできるでしょう。私の個人的なアドバイスとしては、現地で強力な人事チームをつくることをお勧めします。
Q: シンガポールのビジネスエコシステムは、どのような点でメリットがあると思いますか。
A: なんといっても、世界最高峰の人たちと交流できることでしょう。私を例にとると、各国企業のCEO、慈善団体の代表、大臣、そして国内外の素晴らしい才能の持ち主などに会うことができました。とても幸運だと思っています。シンガポールは国際的なハブであり、多くの企業の地域本部があるため、自分が慣れ親しんできた業界だけではなく、多種多様な業種に触れることができるのです。