数多くの宇宙関連企業が参画するシンガポールの宇宙産業と成長するシンガポールの宇宙産業エコシステム
シンガポールの宇宙産業は、2,000人以上の専門家や研究者を雇用し、バリュー・チェーン全体で60以上の国内外の企業を擁している。
そして、30以上もの衛星の製造または打ち上げの実績があり、現在も15以上の衛星プロジェクトが走っている。
シンガポールの宇宙産業では、宇宙技術・産業企画室(OSTIn:Office for Space Technology & Industry)が中心となり、学術機関、ベンチャー企業のコミュニティ、研究開発や事業拡大計画に有益な人材プールといった、国際競争力のある宇宙産業のエコシステムを形成している。この宇宙産業のエコシステムは、多様で熟練した人材、シンガポールのイノベーションのカルチャー、そして知的財産の保護体制やオープンで公正な規制によるビジネスフレンドリーな環境などによって急速に加速している。
多くの日本企業もシンガポールに進出しており、こうしたエコシステムを活用している。例えば、衛星との通信を支える技術革新のコラボレーションとして、シンガポールのベンチャー企業と連携した東芝もその一つだ。
シンガポールのベンチャー企業SpeQtralは、地上と宇宙の両方のソリューションを組み合わせて、グローバルな量子通信のネットワークを構築・展開することを目指している。SpeQtralは2022年11月に、東芝デジタルソリューションズと提携して、東南アジア初の量子ネットワークエクスペリエンスセンター 「QNEX」 を立ち上げることを発表した。量子物理法則を利用してハッキング不可能な暗号鍵を作成する量子鍵配送 (QKD) に基づいた機密データ保護のソリューションが提供され、量子コンピューターによる攻撃など、既存および将来のサイバー攻撃に対する通信インフラの回復力が強化される。
*詳しくはこちら(外部リンク:東芝デジタルソリューションズ株式会社プレスリリース)
宇宙技術開発のための専門研究機関
シンガポールの宇宙産業エコシステムの中に3つの専門的な研究機関が存在する。ナンヤン工科大学(NTU:Nanyang Technological University)、シンガポール国立大学(NUS:National University of Singapore)、そして科学技術研究庁であるA*STAR(Agency for Science, Technology and Research)の3つだ。NTUは九州工業大学と提携して3つの研究衛星を打ち上げているなど実績も上げている。ここでは、中でも日本企業に特に関係性の深いものを紹介する。