シンガポールを拠点にアジア太平洋8カ国に事業展開
鹿島は現在、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアなどに現地法人を展開しており、鹿島グループ全体の売上高に占める海外比率は23%を超える(2020年3月末時点)。特に鹿島が注目しているのが経済成長著しい東南アジアだ。オフィス、ホテル、商業施設を含む複合開発ミレニア・プロジェクトを皮切りに、シンガポールに現地法人カジマ・オーバーシーズ・アジア(KOA)を設立したのは1988年。現在は東南アジア全体を統括するカジマ・アジア・パシフィック・ホールディングスのもと、建設事業を担うKOAと不動産開発事業を担うカジマ・デベロップメント(KD)が、シンガポールを拠点にした東南アジア8カ国において、オフィス、商業施設、ホテル、生産施設、病院、集合住宅、高級コンドミニアムといった幅広い分野の建設・開発プロジェクトを展開している。代表的な例は、シンガポールの大型住宅・商業複合開発プロジェクト、The Woodleigh Residences & Mall。600戸を超える分譲住宅や、延床面積約27,000m2にわたるショッピングモール、コミュニティー・クラブや警察署などで構成される超大型開発プロジェクトだ。この開発プロジェクトはシンガポール・プレス・ホールディングス社(SPH社)との共同事業で、工場で内装まで仕上げたコンクリートの箱を現場で組み立てる工法が採用された。KDとKOAの連携で現場では組立作業が進んでいるが、ここで欠かせないのが技術革新の推進役を担う技術研究所の存在だ。