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エクソンモービル

エクソンモービル

エネルギー大手のエクソンモービルは、シンガポールにある製油所にて数十億SGD(数千億円)の投資を行い、燃料に関する新しい環境規制への対応を迫られている海運業界を支援する製品開発を行う考えです。新たなプロジェクトには、低価値の副産物からクリーン燃料への変換も含まれる予定です。


この莫大な投資は、国際海事機関(IMO)によって2016年に発表された厳しい汚染防止規則に対応するものです。この規則により、海洋燃料における硫黄含有量の制限は、2020年には現在の3.5%から0.5%に引き下げられます。この対応のためにかかる費用は、全世界の海運業界において、年間約600億USD(6兆8,400億円)に上るとも推測されています。

エクソンはシンガポールに同社最大の製油所と総合石油化学プラントを構えており、シンガポールにて重要な地位を確立しています。
 


同社アジア太平洋燃料事業担当バイスプレジデントのマット・バージェロン(Matt Bergeron)氏は、2018年10月3日のシンガポール国際バンカリング会議および展示会にて「ここシンガポールの総合製造施設における数十億SGD規模のプロジェクトについて、現在評価を行っているところです」と語り、「硫黄含有量の少ないクリーン燃料の生産能力を拡大するため、これまでに世界各地の数多くの製油所で多額の投資を行っています」と述べました。同社は先月、5億GBP(725億円)以上を投じてイギリス南沿岸部ファウリーにあるイギリス最大の石油精製所を強化する計画だと述べました。

また主要な海洋石油サプライヤーとしての地位を踏まえて、シンガポールでは新規則に対して国家レベルでの対応も推進しています。

シンガポール保健省・交通省のラム・ピンミン(Lam Pin Min)上級国務相は、シンガポール海洋港湾局(MPA)はステークホルダーと協力して、2020年の世界的な対応期限に先立って低硫黄対応燃料の供給を確実にするための準備を進めていると述べました。また同相は、2019年中頃までに、MPAは低硫黄燃料の認可サプライヤーのリストを発表する予定であると述べました。

MPAはグリーンエネルギープログラムのもと、500万SGD(4億1,500万円)を分配し、バイオ燃料やメタノールなどのクリーン代替海洋燃料の開発と使用の支援も行っています。企業は割り当てられた資金を利用して代替燃料の研究開発を行うことができます。

シンガポールのバンカー燃料販売量は昨年初めて5,000万トンを超え、今年上半期の売上もそのペースを維持し、合計販売量は2,500万トン超となっています。

同相はまた、MPAはシンガポールのLNG(液化天然ガス)バンカリングに関して順調に前進を遂げていると同会議にて語りました。MPAはLNG船8基の造船に共同出資し、海洋燃料としてのガス利用を促進しています。そのうち最初の2基は今年納入されました。同相は「グローバルな硫黄規制と2050年までに二酸化炭素排出量を半分に削減するというIMOの取り組みのもと、シンガポールのバンカー産業は変革期にあります。これらの課題を乗り越えることができた時には、この業界をより高い水準へと引き上げることができるものと確信しています」と語りました。

出典: シンガポールプレスホールディングス(SPH)

1シンガポールドル(SGD)=83円、1米ドル(USD)=114円(2018年11月9日現在)

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