同試験は、DE-127の安全性と有効性の評価を目的として実施しており、主要評価項目は、投与12カ月時点の他覚的等価球面度数(屈折度数*)の変化です。試験期間を通じて重篤な有害事象は認められませんでした。
DE-127は、参天製薬とシンガポールの国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテュート(以下SERI)が共同開発している新製剤です。参天製薬は、目の健康を通じて、世界の人々のQOL向上を実現するために、様々な外部機関とのコラボレーションやオープンイノベーションを積極的に行っています。参天製薬とSERIは、特にアジア領域で頻発する眼科疾患に対する新たな治療薬の開発を目的とし、眼科領域の研究・開発における両者の強みを活用する複数年度の戦略的共同研究を、2014年11月12日に立ち上げました。今後も、互いの高い専門性を生かし、患者さんの治療に貢献できる新製品の創出を目指します。
本試験の治験医師である、SERI Senior Scientific AdvisorのDonald Tan先生は、次の通りコメントしています。「SERIと参天製薬との、アトロピン新製剤の臨床試験が適切かつ確実に実施されたことを大変嬉しく思います。また、現在進行中のSERIと参天製薬とのコラボレーションが、世界中の患者さんに新たな価値を提供できる可能性を示すことができたと考えています」
参天製薬は、同試験および日本における第Ⅱ/Ⅲ相試験を実施しています。今後、日本およびアジアで製造販売申請を行う予定です。
* 視力を得るために必要な矯正度数
以上
DE-127について
DE-127(一般名:アトロピン硫酸塩)は、近視の進行を抑制するムスカリン受容体拮抗薬です。本開発品は、シンガポールの国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテユート(SERI)と共同で製剤開発を行っており、日本およびアジアにて臨床研究を実施しています。
APPLE Studyについて
APPLE Studyは、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験で、軽度から中程度の近視を有する6歳から11歳の患者さんを対象に、DE-127の安全性と有効性を評価する目的で実施されました。同試験へは、シンガポールの2つの医療機関において計100名の患者さんが参加され2019年9月に12カ月間の投与が完了しました。
近視について
目に入ってきた光線は、角膜と水晶体を通り、屈折して網膜に像が写し出されます。近視とは、無調節状態で目に入った光線が網膜より前で像を結ぶ状態を指し、眼球が前後方向に延びることが主な原因と考えられています。近視の程度は等価球面度数(単位:ジオプトリー(D))で表され、International Myopia Instituteによる分類では、-0.5D以下を近視、-6.0D以下を強度近視と定義されています。強度近視の患者さんでは、失明に至る合併症のリスクが高いことが報告されています。近視は一般的に眼鏡やコンタクトレンズ等で矯正されます。また、近視の進行を抑えるための点眼液、コンタクトレンズ、オルソケラトロジーなどが開発段階にあり、様々な臨床試験が行われています。
シンガポールアイリサーチインスティテュート(SERI)について
シンガポールアイリサーチインスティテュート(SERI)は、眼科領域および視力研究を目的としたシンガポールの国立研究所で、シンガポール国立眼科センターの研究部門であり、シンガポール国立大学(NUS)およびデューク NUS 医科大学院(Duke-NUS Graduate Medical School)に所属しています。SERI は、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR Research Institutes)、南洋理工大学(Nanyang Technological University)、その他の生物医学機関やシンガポールおよび世界中の眼科センターと密接な関係を築いています。SERIは、さまざまな公的医療機関や他の生物医学研究機関と連携し、相乗効果のある分野や、共同研究の機会を絶えず探求しており、シンガポールにおいては比較的規模が小さい臨床眼科領域から多くのベネフィットが得られるよう、専門知識、施設、および資源をシンガポールの研究者に開示しています。
1997年の設立以来、SERIは5名からなる創立チームから、臨床医科学者、基礎研究者、リサーチフェロー、博士課程の学生、サポートスタッフなど多岐にわたる220人の大きな組織に成長しました。SERIはシンガポールで最大の研究機関の1つであり、年間予算は約2,200万シンガポールドルで、アジア地域で最大の眼科研究機関です。さらに、SERIは、シンガポールのさまざまな眼科研究所、生物医学研究所、および関連医療センターにおいて80名以上の非常勤教員を有しています。SERIは、2019年9月時点で3,700以上の科学論文に相当する多くの業績を積み重ねており、3億2,700万ドル相当の外部からの査読による助成金を340件以上獲得しています。SERIの教員は610以上の国内および国際的な賞を受賞しており、130以上の特許を出願しています。SERIはさらに204人の修士号、博士号、研修学生を含む人材育成に貢献しており、その多くは現在病院、生物医学産業、学術機関、科学技術庁関連機関で働いています。助成金に大きく依存する非営利団体であるSERIは、研究プロジェクトを支援するため共有資源を活用することにより、常に資金の効率的かつ最適な活用を行ってきました。
参天製薬(参天製薬株式会社、本社:大阪市)について
参天製薬は、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、医療用・一般用の医薬品や、医療機器の研究、開発、販売・マーケティング活動を行っています。世界約60を超える国・地域で製品を販売しており、国内の医療用眼科薬市場においてはNo.1のシェアを有しています。130年近くの歴史の中で培われた科学的知見や企業力を活かし、今後も、価値ある製品・サービスの提供を通じ、患者さんや患者さんを愛する人たちを中心として、社会への貢献を果たしてまいります。詳細については、当社ホームページ www.santen.co.jp をご参照ください。
参天製薬の将来見通しに関する注意事項(Forward-Looking Statements)
このプレスリリースにおいて提供される情報は、いわゆる「見通し情報」(“Forward-Looking Statements”)が含まれています。これらの見通しの実現できるかどうかはさまざまなリスクや不確実性に左右されます。従って、実際の業績はこれらの見通しと大きく異なる結果となり得ることをご承知置きください。また、日本ならびにその他各国政府による医療制度や薬価等の医療行政に関する規制が変更された場合や、金利、為替の変動により、業績や財政状態に影響を受ける可能性があります。
問い合わせ先
コーポレート・コミュニケーショングループ
+81-6-4802-9360, ir@santen.com
出典:参天製薬株式会社 プレスリリース