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米国の巨大企業、ゼネラル・エレクトリック(GE)はシンガポールにおけるガスタービン修理能力を増強するため最大6,000万USD(約66億円)を投資する。


この投資は今後10年間にわたり、高効率空冷式(HA)ガスタービンの新たな修理エンジニアリング開発センターに対して行われる。シンガポールでのGE事業において、先進製造に携わる160人が新たに雇用される見込みだ。

既にあるGEのグローバル修理センターの現従業員は約250人で、シンガポールの全事業部門の従業員は4,000人を超える。

2019年11月の同社発表によれば、米国以外では同社初となるこの新しいHA修理センターは、ノズル、ブレードなどのHAコンポーネントの修理を2021年第1四半期に開始する予定だ。

同社はこれまでに100台以上のHAガスタービンユニットを18カ国から受注している。

面積398,000平方フィート(約37,000平米)を超えるシンガポールの同修理センターは、生産量で世界最大のGE修理拠点になる。

アジア太平洋地域のGE社長兼CEOであるヴァウター・ヴァン・ヴォシュ(Wouter Van Wersch)氏は、ストレーツタイムズ紙(The Straits Times)に対し、シンガポールには同センターの成功につながる優れたエコシステムがあると語った。

「ここにはすばらしい労働者と極めて強力な顧客とパートナーがいる」と同氏は述べ、同社は現地の下請業者や材料や機器のサプライヤーとも協働している。さらに、新施設によって最終的に業務量が50%増加するとともに生産効率が向上するだろうと付け加えた。

アジア太平洋地域のGEチーフオペレーションオフィサーであるジム・ボノ(Jim Vono)氏は、同施設があればシンガポールで修理できるため、コンポーネントを米国との間で往復させる必要がなく、アジアの顧客に対するHA修理サイクルタイムが最大2カ月短縮する見込みだと述べた。

同氏によれば、同社が現在シンガポールで注力しているのは発電、送電、航空、およびヘルスケアの領域だ。

同社は風力タービンや太陽エネルギーなどを始めとする再生可能エネルギープロジェクトを推進中だが、同氏の話では、シンガポールは小さな国であるため「この国で再生可能プロジェクトを推進する」のは容易でない。

「将来、シンガポールはガス発電によって発展すると思う」と述べた。

しかしGEは持続可能性の確保や、世界のあらゆる事業で資源の消費を減らす取り組みをしており、同社の再生可能ビジネスは2020年までにカーボンニュートラルになるだろうと同氏は語った。

さらに同社は、世界での温室効果ガス排出量を2011年以降に27%削減し、世界での水の消費量を25%削減したと付け加えた。

シンガポール経済開発庁のベー・スワンジン長官は同社のイベントで行ったスピーチの中で、GEの新センターは高度な技術を持つ修理開発エンジニアのチームを形成し、シンガポールの優れた技術系人材を活用できるだろうと強調した。

2030年までに世界のエネルギーミックスにおける2番目に多いエネルギー源としてガス発電が石炭発電に取って代わると国際エネルギー機関(International Energy Agency)が予測していることから、GEのHAガスタービンへの需要増大が見込まれると述べた。

「したがってHA修理能力への今回の投資は、長期にわたりシンガポールの工業生産高に大きく寄与し、経済全体に占める製造業の割合を2割に維持するための政府の取り組みを支えるだろう」と述べた。

出典:ストレーツタイムズ

*1シンガポールドル(SGD)=79.3円、1米ドル(USD)=109.8円(2020年2月7日現在)

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