1. シンガポール、ジュロン島南部の島々を統合する新たな島の造成を構想
シンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相は2026年の独立記念集会の演説(ナショナルデー・ラリー)で、政府がジュロン島南部に位置するセマカウ島、ブコム島、スドン島など複数の島々を、ジュロン島と同様に一つの大きな島へ統合する計画を検討していることを明らかにした。
現在、セマカウ島には沖合埋立地があり、ブコム島では国内初の製油所が操業している。スドン島には、緊急時に軍(SAF)が使用する滑走路がある。これらの島々を統合して造成する新たな島には、石油化学産業に加え、先端製造施設を含む次世代産業の拠点や、将来の電力需要に対応する発電インフラを整備することを想定している。また、SAFが使用する滑走路についても、引き続き利用できるよう必要なスペースを確保する方針だ。
この計画は今後数十年を見据えた長期的な取り組みで、現在、具体的な内容について検討が進められている。ウォン首相は、ジュロン島が過去50年間にわたり経済発展を支えてきたことに触れ、新たに造成する西部の島が、今後50年、さらにその先の経済・産業発展を支える基盤となるとの考えを示した。
2. ABEJA、子会社を設立、AI・Physical AI事業の地域拠点に
ABEJAは、100%出資の子会社を設立し、現地企業、大学・研究機関、政府機関等とのパートナーシップを構築して案件開発を推進する計画を発表した。シンガポールをグローバル展開の拠点として位置付け、AI・Physical AI関連事業のASEAN地域およびグローバルサウス諸国での拡大を目指し、機能を段階的に拡充していく方針を示している。
AIガバナンスの重要性が高まる中、近年、海外からの問い合わせが増加していることを受け、他国にデータ統治権を委ねるリスクを抑え、各国の法制度や企業のセキュリティ方針に柔軟に対応できる「ABEJA Platform」の需要を取り込む考えだ。
3. 横河電機、持続可能なAIデータセンター運用実証に参画
横河電機のシンガポール子会社Yokogawa Engineering Asiaは、高温多湿な気候下でのAI向けデータセンターの持続可能な運用モデルの確立を目指す国家的実証プロジェクト「Sustainable Tropical Data Centre Testbed Phase 2.0(STDCT 2.0)」のコンソーシアムに参画した。
STDCT 2.0は、シンガポール国立大学(NUS)が主導し、同大学のデザイン&エンジニアリング・カレッジが運営する共同研究イニシアチブで、業界を代表する企業が参画している。横河電機は当プロジェクトで、技術導入や実証評価に加え、共同研究テーマの検討を通じて包括的なソリューションの開発を進める。
4. TOPPAN、FC-BGA基板の生産工場を開設
TOPPANは、Broadcom Inc.との合弁会社ADVANCED SUBSTRATE TECHNOLOGIES PTE. LTD.(AST)に、同社初となるFC-BGA基板の海外生産拠点を開設した。
本工場はシンガポール経済開発庁(EDB)の支援を受けて設立されたもので、第一期稼働分約7万㎡の施設では、生成AIやデータセンターの普及に伴い需要が高まるFC-BGA基板を生産し、安定供給を目指す。また、自然災害や地政学的リスクに備え、複数拠点による生産体制を構築することでサプライチェーンの強靭化も図る。ASTは2026年中の生産開始を予定しており、2027年度までにFC-BGA事業の生産能力を2022年度比で2.5倍以上に拡大することを目指す。
5. 鹿島建設とJTC、初の自動運転建設機械の実証プロジェクトを開始
鹿島建設と政府系工業団地運営機関JTCは、建設現場の省人化と安全性向上を目指し、自動運転建設機械の活用を検証する国内初のパイロットプロジェクトを開始した。試験は油圧ショベルと振動ローラから始める。
プロジェクトには、Public Sector Science & Technology Policy & Plans Office(S&TPPO)や住宅開発庁(HDB)も参画している。また、複数の技術パートナーと連携し、振動ローラにはスイス・チューリッヒを拠点とするGravis Roboticsの自律運転技術を、油圧ショベルには鹿島建設が開発した自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」を導入する。A4CSELの海外での導入は今回が初めてとなる。既存の建設機械に自律機能を後付けすることで、機械を新たに買い替えることなく自動化を進められる点も特徴という。
JTCと鹿島建設はさらに、2027年にはブルドーザーやダンプトラックにも試験運転を拡大することを検討している。
6. アプライド マテリアルズ、約6億Sドルの製造・R&D拠点を新設
半導体製造装置大手のアプライド マテリアルズは、製造・研究開発機能を強化するため、約6億SGDを投資しタンピネス キャンパスを新設した。AI需要の拡大を受けて生産能力の増強を進める半導体メーカー向けに製品を供給する。同施設により、同社の国内先進クリーンルームの生産能力は従来の2倍以上に拡大する。
今回の拡張は、グローバルな製造・R&D能力の強化、テクノロジーエコシステムにおけるパートナーシップの拡大、地域人材の育成を目指す「Singapore 2030」計画の一環で、今後数年間で約1,000人の現地雇用を創出する見込み。
また、同施設には自律走行搬送ロボット(AMR)、自動組立・検査システム、AIを活用した品質検査などを導入し、製造とR&Dの連携を強化する。さらに、エネルギーや水の使用量をリアルタイムで監視するスマートビルディング・マネジメント・システムなど、持続可能性に配慮した設備も導入している。
7. レゾナック、HDDメディア生産能力を44%増強
レゾナックは、ハードディスクメディアの安定供給体制を強化するため、グループ中核拠点のResonac HD Singaporeに約150億円を追加投資することを決定した。生成AIやクラウドサービスの普及を背景に、データセンター向けストレージ需要の中長期的な拡大が見込まれており、特に高い信頼性と大容量、コスト効率を兼ね備えたニアライン向けハードディスクドライブが、今後もデータストレージの中核を担うことを見据えたもの。
今回の追加投資と2026年5月に発表した生産能力の増強により、同拠点の生産能力は現状の年間約1億6,000万枚から44%増となる年間約2億3,000万枚規模に拡大される見込み。2029年以降、市場動向や需要に応じて順次生産ラインを立ち上げる計画という。
また、本投資の実行を前提として、投資額に相当する価格改定についてレゾナックは顧客のハードディスクドライブメーカーと合意している。