パナソニックの原田氏は、日本企業にとってのシンガポールの魅力に「エコシステムのコンパクトさ」を挙げる。、シンガポールでは事業のグローバル展開を志向する企業同士が間近に集まり、共通の目的に向けた取り組みがしやすいと好感した。
13年に入社し、25年3月までの6年間、シンガポールにある研究開発(R&D)拠点に出向した原田氏は、企業が保有する「技術」と各社が抱える「課題」のマッチング支援を手掛ける現地の政府系NPO法人「IPI」との連携でオープンイノベーションを推進し、24年4月には日本貿易振興機構(ジェトロ)や他社と共同で日系企業有志団体「ジャパニーズ・コーポレーツ・テクノロジー・イノベーション(JCTI)ローンチパッド」を立ち上げた。
パナソニックは事業領域が広く、技術開発も手掛けるが、事業化につなげ切れない点が課題だった。そうした中、保有資産を社外パートナーの資産と掛け合わせるオープンイノベーションに注目。自社技術をはじめとする無形資産をシンガポールに持ち込み、他社の事業アイデアと組み合わせることで実社会での活用を図っている。
これまで40件を上回る技術をIPIのサービス上で公開し、170社余りが関心を表明。30件近くがPOCに進み、数件が社会実装間近の段階に入るなど、成果を挙げつつある。
原田氏は、成果を振り返り「シンガポールのエコシステム活用は有効」と手応えを強調する一方、1社単独でエコシステムを開拓し、その内部で何十年と存在感を維持し続けるのは困難だとも指摘する。こうした課題意識から、多企業が一丸となって外部への技術紹介と内部での知見共有を可能にする枠組みとしてJCTIローンチパッドを設立。創設メンバーは、パナソニックと三井化学、リコー、東洋製缶、日清紡ホールディングスで、後に村田製作所や日東電工が参加、その後も数社から加入の問い合わせが入っている。「グローバルで闘っていこうという共通点を持つ企業同士がシンガポールで集まることで、目的を共通化しやすい」と付け加えた。