Q:日立はデジタルソリューションとAIといった強みで、シンガポールの国家デジタル化構想「スマートネーション」を支援しています。シンガポールで導入した日立のソリューションについて詳しく教えていただけますか。AI関連で期待される注目プロジェクトについてもお知らせください。
A:AIが効果的に機能するには、強固なインテリジェンス基盤の構築が極めて重要です。日立はこの実現のため、デジタルトランスフォーメーションの機能強化に多額の投資を行ってきました。
加えて、グループ会社のGlobalLogicと域内の豊富なAIエンジニア人材と共に、東南アジアのデジタル事業を加速する準備を整えました。
これらの準備を経て、日立はシンガポールの戦略的パートナーと数々のコラボレーションを展開してきました。いくつかの例をご紹介します。
鉄道事業を推進しているHitachi Rail GTSは、都市鉄道(MRT)南北線と東西線に無線式列車制御システム(CBTCシステム)を導入しました。
日立がシンガポールの公共交通機関大手SMRTと共同開発した次世代型CBTC「the Green CBTC Next Gen」は、2024年11月に完了したプロジェクトの第一段階で、2路線で8%のエネルギー削減を達成しました。
Hitachi Railのデジタルアセットマネジメントプラットフォーム「HMAX(Hyper Mobility Asset Expert)」もシンガポールへの導入を検討しています。HMAXは、鉄道車両、信号システム、鉄道インフラに高度な機械学習とAIを活用し、予知保守と保有資産のパフォーマンス最適化を実現することで、鉄道ネットワーク全体の信頼性向上とコスト削減を推進します。
アジア太平洋地域での日立のAIアプリケーション技術を活用した次世代データセンター開発では、通信大手シングテル(Singtel)と覚書を交わしました。
人材育成で築く持続可能な未来
Q:地元人材育成のため、日立はシンガポールでどのような提携を行っていますか?注目すべき成果があれば教えていただけますか?
A:人材は、日立だけではなく、東南アジア全体の経済成長にとっても最も重要な資産です。日立では、急速に変化する経済や絶え間なく変化するニーズに機敏に対応できるよう、将来の人材を育成する複数のプログラムを導入しています。
その1つに、「Hitachi Young Leaders Initiative」があります。今日まで日本と東南アジアの400人を超える優秀な大学生に体験型プログラムを通して視野を広げる機会を提供してきました。
若く才能のある人々に、政府や経済界、学術界の著名な講師とグローバルな社会課題について活発に議論するための場を提供するものです。この体験をきっかけに、参加者の皆さんが将来、社会課題に取り組む革新的なソリューションを導き出す力を得られると信じています。また、過去にプログラムへ参加された学生の中から、後に政府機関や日立グループに就職した人材を輩出したことを誇りに思っています。
他にも、ヘン・スイキャット前副首相との対話の中で提案された、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本の関係強化を目的とする「ASEAN Business Leadership Programme」があります。これは東南アジアと日本の優れた経済界のリーダーが集い、意見を交わし、ASEANの社会課題の解決方法を模索するものです。日立は2023年にスポンサーとして本イベントの立ち上げに参画し、以来サポートを継続しています。多くの参加者がこの国際交流により貴重な洞察を得て、持続可能な未来を築く新たな視点を持つことが可能になりました。