【大局の展望】:AIの爆発的成長で半導体メモリ争奪戦へ―シンガポールがパッケージの大舞台に躍進

【大局の展望】:AIの爆発的成長で半導体メモリ争奪戦へ―シンガポールがパッケージの大舞台に躍進

かつて世界的AIインフラの発展で脇役と見なされていた半導体メモリが、この半年で頻繁に「主役」の座を占めるようになった。製造能力のひっ迫により在庫不足の報告が相次ぎ、価格高騰の勢いはますます激しくなっている。グローバルな半導体の重要拠点であるシンガポールは、この波に乗ることができるのか。今回の「大局の展望」では、半導体メモリ不足の潮流と、シンガポールが先端パッケージを通じていかに恩恵を受けるかを分析する。


Illustrated digital graphic showing semiconductor chips, data infrastructure, and interconnected circuit pathways. Miniature figures stand on and around colourful technology components, symbolising collaboration, innovation, and the semiconductor value chain within an advanced digital ecosystem.

画像は生成AIによるものです。

過去2年、人工知能(AI)は全世界のテクノロジー業界の話題をほぼ独占してきた。2023年の大規模言語モデルの爆発的普及から、2024年の演算チップと先端プロセスをめぐる競争に至るまで、市場は常に「どの企業がより速く、より高い演算能力を提供できるのか」に焦点を当ててきた。

しかし、テクノロジー業界のテーマは毎年変わる。2025年下半期に入り、風向きが静かに変わってきた。かつて脇役と見なされることの多かった半導体メモリが注目され、在庫不足の報告も相次いで伝わってくるようになった。

半導体業界の一般的な半導体メモリは、DRAM(Dynamic Random-Access Memory)、NAND型フラッシュメモリ、そしてDRAM技術をベースに発展したHBM(High Bandwidth Memory、高帯域幅メモリ)がある。

独立系調査機関IDCの報告によると、2025年下半期からDRAMとNAND型フラッシュメモリ市場で深刻な供給不足が出現した。2026年のDRAMとNAND型フラッシュメモリの供給増加率はそれぞれ16%と17%にとどまる見通しで、過去の平均値を大きく下回る。

IDCは、生産能力の拡大が需要の伸びに追いつかず、市場の需給ひっ迫は避けられないと指摘。この状況は2027年まで続くと予測している。
 

半導体メモリのAI業界での役割とは?

DRAM、NAND、HBM——これらの半導体メモリにはどのような違いがあるのか。AIの時代にどのような役割を担っているのだろうか。

DRAMは揮発性メモリ(volatile memory)の一種で、電源を切るとデータが消える。主にシステム稼働中のワーキングメモリとして機能する。一方、NAND型フラッシュメモリは不揮発性メモリ(non-volatile memory)に属し、電源を切ってもデータが保持される。SSD(Solid-state Drive、ソリッドステートドライブ)、スマートフォン、データセンターの補助記憶装置(ストレージ)などに使用されている。

HBMはDRAMを強化したもので、複数のDRAMチップを「積み木」のように積み重ね、極めて高い帯域幅、すなわちデータ転送速度を実現し、プロセッサのすぐ隣に実装される。

AI時代、DRAMは処理タスクの「中継」を、NANDは膨大な知識の「記憶」を、HBMは瞬発的なデータ供給能力を担っている。

AIモデル拡大に伴い、演算能力の発揮を真に左右するのは、演算チップだけでなく、データ転送と記憶能力でもある。演算能力はいくらでも積み上げられるが、データを供給する速度が追いつかなければ、どれほど高性能なプロセッサも空回りするだけだ。
 

主要メモリ技術の比較
 DRAMNANDHBM

レイテンシ

約50〜100ナノ秒

約10〜100マイクロ秒

約10ナノ秒

帯域幅

約50〜100 GB/s

約3〜7 GB/s

1.2 TB/s以上

揮発性

電源オフでデータ消失

データを長期保持

電源オフでデータ消失

主な用途

CPU/GPUのメインメモリ

長期ストレージとキャッシュ

長期ストレージとキャッシュAI・GPU・HPC

構造

平面構造

平面構造

3D積層構造


(聯合早報記事を基に作成)

DRAM供給不足で価格が急騰、値上がり幅は90%か

市場関係者は、今回の供給不足は単なる景気循環的な需給のミスマッチにとどまらず、グローバルなウエハー生産能力の戦略的な再配分の結果でもあると指摘した。半導体メモリの価格高騰はさらに激しくなる恐れがあるという。

野村證券の分析によると、2026年第1四半期の汎用型半導体メモリの価格上昇幅は予想を大きく上回った。DRAM価格は90%の大幅上昇、NAND型フラッシュメモリは60%の上昇となる見込みで、従来予測の56%と40%を明らかに上回っている。

野村證券はさらに、通年の汎用型DRAMとNANDの価格上昇幅がそれぞれ176%と146%に達する可能性があると試算している。

世界の半導体メモリ産業は現在、韓国のサムスンとSKハイニックス、そして米国のマイクロン・テクノロジーによる「三つ巴」の構図となっている。調査機関Counterpointによると、2025年第3四半期のグローバルDRAM市場ではサムスンが33%、SKハイニックスが34%、マイクロンが26%と、合わせて9割以上のシェアを占めている。

より高付加価値のHBM市場では、3社がほぼ全てのシェアを独占している。中でもSKハイニックスが57%と独走し、サムスンとマイクロンがそれぞれ22%と21%と続く。

価格の上昇は半導体メモリメーカーの利益を直接押し上げる。野村證券の予測では、SKハイニックスの2026年のDRAMとNAND事業の営業利益率はそれぞれ76%と57%という高水準に達する見込みだ。

一方、顧客のAI企業が相次いで「買い占め」に走ることで、HBM最新世代「HBM4」は、より強気の価格設定が可能だ。

野村證券は、主要メーカーのサムスンがより先進的なプロセスを採用しているため生産コストが高いものの、供給ひっ迫の状況下では高速版のHBM4も30%から40%のプレミアム価格が期待できると指摘している。

注目すべきは、今回の値上がりは一般消費者とも深く関わってくる点だ。

多くの調査機関は、高付加価値メモリの需要拡大が生産余力を圧迫すると見ている。AIサーバーの「メモリ吸収効果」は、AIプロセッサに割り当てられるウエハー1枚ごとに、中級スマートフォンやパソコン向けのメモリ供給が1台分犠牲になることを意味する。

消費者向け電子機器がコスト上昇圧力に直面する中、テクノロジー株市場にも明確な二極化が生じている。

最近、クアルコム、任天堂、ロジクールなど消費者向けテクノロジー株に売り圧力が生じ、中国の電気自動車・スマートフォンメーカーであるBYD(比亜迪)とシャオミもこの影響で軟調な動きを見せている。
 


シンガポール、NAND型フラッシュメモリ主要生産拠点

シンガポールは、半導体メモリの製造サプライチェーンで重要な役割を担っている。

マレーシアの銀行メイバンクのエコノミスト、チュア・ハクビン氏とブライアン・リー氏は、シンガポールはグローバルなNAND型フラッシュメモリの主要生産拠点だと指摘する。両氏は、マイクロンのHBMチップ工場と台湾の聯華電子(UMC)が生産を開始することで、シンガポールのチップ生産能力と生産量が向上し、AIサプライチェーンの地位がさらに強化されると予測している。

中でもマイクロンは、NAND型フラッシュメモリチップの98%をシンガポールで生産している。同社は最近、300億シンガポールドル余りを投資し、初の2階建てウエハー製造工場を建設すると発表した。1600件の雇用を創出し、2028年下半期に生産開始の見込みだ。

マイクロン・シンガポールのジョシュア・リー・コーポレートバイスプレジデント兼シンガポールカントリーマネージャーは「聯合早報」の取材に対し、新しいウエハー工場の完成は、継続的な技術転換に必要な生産能力をもたらすと述べた。

リー氏は「先進的なメモリソリューションに対する市場の長期的な需要に応えることが可能になる。また、マイクロンのシンガポールに対する揺るぎない信頼をさらに強固なものにする。研究開発と製造を同一拠点に集約することで、連携を強化し、製品の市場投入スピードを高め、産学官連携をより深められる」と語った。
 


元記事「悉看大势:AI产业爆炸式增长 存储晶片成主角被哄抢 小红点卡位封装大舞台」(2月22日付聯合早報紙)から翻訳しました。誤りについては、すべて翻訳側の責任となります。

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