過去2年、人工知能(AI)は全世界のテクノロジー業界の話題をほぼ独占してきた。2023年の大規模言語モデルの爆発的普及から、2024年の演算チップと先端プロセスをめぐる競争に至るまで、市場は常に「どの企業がより速く、より高い演算能力を提供できるのか」に焦点を当ててきた。
しかし、テクノロジー業界のテーマは毎年変わる。2025年下半期に入り、風向きが静かに変わってきた。かつて脇役と見なされることの多かった半導体メモリが注目され、在庫不足の報告も相次いで伝わってくるようになった。
半導体業界の一般的な半導体メモリは、DRAM(Dynamic Random-Access Memory)、NAND型フラッシュメモリ、そしてDRAM技術をベースに発展したHBM(High Bandwidth Memory、高帯域幅メモリ)がある。
独立系調査機関IDCの報告によると、2025年下半期からDRAMとNAND型フラッシュメモリ市場で深刻な供給不足が出現した。2026年のDRAMとNAND型フラッシュメモリの供給増加率はそれぞれ16%と17%にとどまる見通しで、過去の平均値を大きく下回る。
IDCは、生産能力の拡大が需要の伸びに追いつかず、市場の需給ひっ迫は避けられないと指摘。この状況は2027年まで続くと予測している。
半導体メモリのAI業界での役割とは?
DRAM、NAND、HBM——これらの半導体メモリにはどのような違いがあるのか。AIの時代にどのような役割を担っているのだろうか。
DRAMは揮発性メモリ(volatile memory)の一種で、電源を切るとデータが消える。主にシステム稼働中のワーキングメモリとして機能する。一方、NAND型フラッシュメモリは不揮発性メモリ(non-volatile memory)に属し、電源を切ってもデータが保持される。SSD(Solid-state Drive、ソリッドステートドライブ)、スマートフォン、データセンターの補助記憶装置(ストレージ)などに使用されている。
HBMはDRAMを強化したもので、複数のDRAMチップを「積み木」のように積み重ね、極めて高い帯域幅、すなわちデータ転送速度を実現し、プロセッサのすぐ隣に実装される。
AI時代、DRAMは処理タスクの「中継」を、NANDは膨大な知識の「記憶」を、HBMは瞬発的なデータ供給能力を担っている。
AIモデル拡大に伴い、演算能力の発揮を真に左右するのは、演算チップだけでなく、データ転送と記憶能力でもある。演算能力はいくらでも積み上げられるが、データを供給する速度が追いつかなければ、どれほど高性能なプロセッサも空回りするだけだ。