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イノベーションとコラボレーションの促進で東南アジアのビジネスチャンスを獲得――横河電機とアズビル

イノベーションとコラボレーションの促進で東南アジアのビジネスチャンスを獲得――横河電機とアズビル

シンガポール経済開発庁(EDB)は2025年5月22日、大阪・関西万博で製造業向けセミナーを開催した。日本の代表的なメーカーである横河電機とアズビルの経営陣らが参加し、東南アジアにおける製造業の成長戦略や、そうした取り組みの中で果たすシンガポールの役割について、実体験を踏まえたディスカッションが行われた。

イノベーションとコラボレーションの促進で東南アジアのビジネスチャンスを獲得ー横河電機とアズビル masthead image
横河電機――市場のニーズに対応するCiC、気候テックとサステナブル・イノベーションの開発を加速させるSIH

横河電機は、シンガポールを東南アジアにおける成長とイノベーション戦略の重要な拠点と位置づけている。技術革新のハブとして、同社は地域およびローカル産業の支援、イノベーションの促進、持続可能性の推進に取り組んでいる。

目立った取り組みの一つが、「Co-innovation Centre(CiC)」である。CiCは、最先端のソリューションを共同で開発する目的で同社のエンジニアのほか、地元企業、学術機関、および顧客と密接に連携し、自動化、AI、IoT、データ解析などの分野に焦点を当て、東南アジア市場地域特有の課題に対応したソリューションを生み出している。

さらに同社は、シンガポールに「Sustainability Incubation Hub(SIH)」も立ち上げている。SIHは、気候テックとサステナブル・イノベーション開発を加速することに重点を置き、地元の機関や研究組織と連携し、エネルギー効率の向上や二酸化炭素排出量の削減に貢献する技術を開発するためのプラットフォームとして機能している。

また同社では、シンガポールで採用したエンジニアを日本の本社に派遣してトレーニングを受講する仕組みも整えている。この本社研修において取得した最新のベストプラクティスならびに最先端技術をシンガポールおよび東南アジアでの事業展開に活用するのに役立っている。同社は従業員の成長に投資することで、新しい技術に伴う課題や機会に常に対応できるチームを育成している。
 

アズビル――デジタルツイン技術でデジタルトランスフォーメーションの最前線に立つ

アズビルはシンガポールを単なる市場としてではなく、イノベーションの創出、経営管理統括、シンガポールに本社を置くグローバル企業との連携の拠点として活用している。2018年に「東南アジア戦略企画推進室」をシンガポールに開設し、それ以来、大きな進展を遂げてきた。また同社の「Singapore+」戦略により、シンガポールのオフィスをリージョナルオフィスとして活用し、東南アジア全域およびインドへの事業展開を実現している。

同社はビルディングオートメーションのデジタルツイン技術の開発で先駆的な役割を果たしており、シンガポールのデジタルトランスフォーメーションの最前線に立っている。この技術は、オートメーションの次の進化を象徴するもので、Surbana Jurong Campusといった実際のプロジェクトにもすでに導入されている。また、プンゴル・デジタル・ディストリクト内に新設されたシンガポール工科大学(SIT)のキャンパスでは、IoTを活用したインテリジェント・ビル管理システム(IBMS)が導入されており、 施設全体を包括的に管理しながら、エネルギー効率の最適化を図っている。

また、製造業向けには、国や企業間でのモジュール型のコラボレーションを実現するオープンプラットフォーム思考を採用し、東南アジアのコスト、人材、イノベーションの強みを生かし、データに基づく意思決定を通じて、企業の競争力を強化するよう提言している。

同社は技術開発にとどまらず、地域社会への貢献にも注力しており、数々の賞を受賞している。2021年にはシンガポールの「Apex Corporate Sustainability Awards」を受賞。ほかに「Singapore Environmental Achievement Awards」や 「Frost & Sullivan Southeast Asia Company of the Year Award」なども受賞しており、地域社会との関わりやイノベーションへの取り組みなどが高く評価されている。
 

EDBによるシンガポールの先進製造エコシステムについての説明の模様

EDBによるシンガポールの先進製造エコシステムについての説明の模様


 

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