イノベーション分野
2023年予算において、ローレンス・ウォン(Lawrence Wong)財務大臣は新たに企業技術革新スキーム(Enterprise Innovation Scheme: EIS) を発表した。これは、イノベーションを促進する5つの主要分野において企業に対する税務上の優遇措置を拡充するものだ。シンガポールで行われる研究開発、知的財産登録、高等教育機関であるポリテクニックや技能教育研修所(Institute of Technical Education)といった学校教育機関と共同で実施したイノベーションプロジェクトなど、一定の要件を満たした支出につき税務上の優遇措置が強化される。
EISに加え、企業の能力向上や事業範囲の拡大を促進するための優遇措置や支援制度がシンガポールでは他にも用意されている。シンガポール経済開発庁(EDB)のCorporate Venture Launchpadプログラムは、シンガポールにとどまらずグローバルな競争力を有する事業となり得る革新的なビジネスアイデアを企業が事業化できるよう支援する。
グローバル企業はまた、シンガポール政府機関と協働してアジア太平洋地域でのイノベーション関連業務を推進することもできる。今年、ジョンソン・エンド・ジョンソン・インターナショナルはEDBとの新たな共同事業を通して、この地域における生命科学分野のイノベーションを促進した。新型コロナウイルスのワクチン・モデルナに対して先行投資と支援研究をしたことで知られる米国のバイオベンチャーキャピタルFlagship Pioneeringは、シンガポールに地域統括拠点を設立し、アジア太平洋地域におけるヘルスケア、生命科学関連業界との協働を新たに進めようと模索している。