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2023年を振り返る:シンガポールに進出しビジネス成長を目指す企業を支える優遇措置や支援制度

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2023年にシンガポールは、AIからサプライチェーン、人材、イノベーション、サステナビリティにいたるまで、成長に向けた態勢を整えようとしているグローバル企業や国内企業を支えるため新たな優遇措置や支援制度をそれぞれの分野で発表した。主な措置や制度についてここに紹介する。

2024/02/08

イノベーション分野

2023年予算において、ローレンス・ウォン(Lawrence Wong)財務大臣は新たに企業技術革新スキーム(Enterprise Innovation Scheme: EIS) を発表した。これは、イノベーションを促進する5つの主要分野において企業に対する税務上の優遇措置を拡充するものだ。シンガポールで行われる研究開発、知的財産登録、高等教育機関であるポリテクニックや技能教育研修所(Institute of Technical Education)といった学校教育機関と共同で実施したイノベーションプロジェクトなど、一定の要件を満たした支出につき税務上の優遇措置が強化される。

EISに加え、企業の能力向上や事業範囲の拡大を促進するための優遇措置や支援制度がシンガポールでは他にも用意されている。シンガポール経済開発庁(EDB)のCorporate Venture Launchpadプログラムは、シンガポールにとどまらずグローバルな競争力を有する事業となり得る革新的なビジネスアイデアを企業が事業化できるよう支援する。

グローバル企業はまた、シンガポール政府機関と協働してアジア太平洋地域でのイノベーション関連業務を推進することもできる。今年、ジョンソン・エンド・ジョンソン・インターナショナルはEDBとの新たな共同事業を通して、この地域における生命科学分野のイノベーションを促進した。新型コロナウイルスのワクチン・モデルナに対して先行投資と支援研究をしたことで知られる米国のバイオベンチャーキャピタルFlagship Pioneeringは、シンガポールに地域統括拠点を設立し、アジア太平洋地域におけるヘルスケア、生命科学関連業界との協働を新たに進めようと模索している。

注目ポイント:シンガポールは、グローバル・イノベーション・インデックス2023年度版において、アジアで首位、世界でも5位にランクインした。調査を行った世界知的所有権機関(WIPO)は、この評価は政府の効率性、情報通信技術(ICT)の利便性、ベンチャーキャピタル環境の充実度によるものとしている。

サプライチェーンマネジメント分野

シンガポールは、製造業や有名ブランド製品を有する企業にとって、アジア太平洋地域や全世界のサプライチェーンを統括し、より効率的でしなやかなサプライチェーンを新たに運用するためのサプライチェーンマネジメント(SCM)にふさわしい拠点として注目されつつある。こうしたなか、SCMにおいて高度なデジタル知識・技術を有する人材への需要が高まっている。

2023年、EDBと職業訓練を目的とするSkillsFuture Singaporeは、Supply Chain Management (SCM) Skills Planを発表した。シンガポールにおける新たなSCM関連職種の動向や利用可能なリスキリング支援に関して一元的に参照できるように情報がまとめられている。なお、シンガポールを拠点としている企業がサプライチェーンの将来をどのように見据えているかについて詳述しているこちらのサイトや、ガートナー・コンサルティングによる報告書アジア太平洋地域のサプライチェーンネットワークの動向にて詳細を参照することができる。

AI(人工知能)分野

生成人工知能(AI)によって既存の産業は大きな影響を受け、事業の再構築などが余儀なくされている中、シンガポールでは、金融、eコマース、ヘルスケア、専門サービスの各分野において、生成AIモデルを利用した新たなAIアプリケーションのプロトタイプ開発のために企業への支援を行っている。

シンガポールは、AI関連の研究開発に対し継続して投資を行っており、投資額は過去5年間ですでに5億シンガポールドル(SGD)(約550億円/ 1SGD=110円で換算)を超えている。12月4日、シンガポール政府が発表したAI戦略改訂版には、以下の記述が含まれている。

  • AI関連実務者数(機械学習の研究者やエンジニアを含む)を、現状の3倍に相当する15,000人以上に増加させる。そのためには国内人材の養成、海外人材の雇用が必要である。
  • シンガポールのAIコミュニティを醸成するための専用サイトを構築する。
  • AI分野に対する政府の優遇措置を拡充する。これにはAIスタートアップ企業のためのアクセラレータープログラム支援、企業によるAI「センターオブエクセレンス(卓越研究拠点)」設立支援などが含まれる。

「AI Trailblazers」イニシアチブは、Digital Industry Singaporeなどの政府機関およびグーグル・クラウドによって立ち上げられた。このイニシアチブにより、シンガポールを拠点とする企業がグーグル・クラウドのAIツールセットを活用して生成AIプロダクトを開発し、AIソリューションの展開と導入を速めることができる。

EDBのジャクリーン・ポー(Jacqueline Poh)次官は、2023年10月に開催されたAmazon Web Services (AWS) Public Sector Day conferenceにおいて、次のように述べている。「我々の最優先課題は、国全体としてAI志向を強化し、シンガポールをAIイノベーションの充実した拠点として確立することである。そのために、我々はこのビジョンを支える主な促進要因への投資を続けていく」

人材分野

シンガポールは、需要の高いスキルを持つ人材をはじめとした、各企業に即したグローバル人材を呼び込むために就労ビザ制度を一新した。多様な雇用制度および就労ビザについてはこちらを参照のこと。

2023年、シンガポールは外国人によるEmployment Pass(EP)申請の審査に際し、ポイント制のComplementarity Assessment Framework (COMPASS)を新たに導入した。これは企業が人事計画をより明瞭かつ確実に進められるようにするものだ。EPの新規申請者は、COMPASSの審査を通過するために40ポイントが必要で、社内における国籍多様性や申請者の学歴など、企業および従業員個人の属性が審査の対象となる。特別なスキルが求められ、現状人材が不足している職種への申請者は、ボーナスポイント加算の対象となる。

シンガポールは、グローバル人材誘致政策とともに、研修やスキル向上プログラムを通じた国内人材の能力開発・向上にも取り組んでいる。また、Singapore Leaders Network (SGLN)は、シンガポールの人材がグローバル企業においてリーダーシップ的な地位を担うことができるよう、世界やアジア太平洋地域で活躍するシンガポールの人材を増やすために結成されたものである。

サステナビリティ分野

シンガポールは2023年にクリーンエネルギーへの移行を推し進めた。Singapore International Energy Week 2023において、水素燃料の利用、クリーンエネルギーの輸入、天然ガスの一括調達という3大イニシアチブが発表された。

2035年までに、シンガポール企業はASEAN域内の送配電網から低炭素電力を最大4ギガワット(GW)まで利用できるようになる(予想される電力供給の30%に相当)。また、太陽光発電、エネルギー貯蔵、低炭素代替エネルギーを拡充する取り組みも並行して進められる。

  • クリーンエネルギーの輸入
    シンガポールのエネルギー規制当局であるエネルギー市場監督庁(EMA)は、2023年に低炭素電力の輸入を条件付きで6件承認した。3月には、Keppel Energyによるカンボジアからの1GWの低炭素電力の輸入が条件付きで承認された。9月にはインドネシアからシンガポールに計2GWの低炭素電力を輸入するプロジェクト5件を条件付きで承認している。ASEANの送配電網に関しては、加盟10か国の電力システムを統合する計画もある。

  • 太陽光発電、エネルギー貯蔵、(水素などの)低炭素代替エネルギー
    シンガポールは、2030年までに少なくとも2ギガワットピーク(GWp)の太陽光発電設備容量を備え、年間約35万世帯の電力需要を満たすことを目指している。2022年末の時点でシンガポールの太陽光発電設備容量は820メガワットピークを超え、政府、企業、家計が一体となって太陽光発電の普及に向けた取り組みを進めている。

    シンガポールの政府系エネルギー企業であるセムコープ(SembCorp)は2023年2月、大規模なバッテリーエネルギー貯蔵システムを新たにジュロン島に建設し、太陽光発電による日中の余剰電力を貯蔵し、より需要の多い時間帯に使用できるようになったと発表した。また同年7月には、Keppel社が水素に対応した新発電所の起工式を行った。従来の発電所より二酸化炭素排出量が少なく、30%の水素を含む燃料で運転できる。11月にはTuas Power社がインドネシアの再生可能エネルギー関連企業と、バタム島の太陽光発電による電力をシンガポールに輸入することに合意・署名したと明らかにした。
  • 低炭素化関連サービス
    EDBは、低炭素化に関するアドバイザリーサービス、プロジェクト開発、排出量取引などのサービスを提供する企業がシンガポールに本拠を構えることを歓迎している。100近くの機関・組織がすでに低炭素化関連サービスを提供しており、2023年6月には国際排出量取引協会(IETA)がシンガポールにアジア拠点を開設した。同月、シンガポールに拠点を置くカーボンクレジット取引所のClimate Impact X(CIX)は、グローバルなスポット取引のプラットフォームを立ち上げている。これによりカーボンオフセット取引の流動性を高め、自然に基づくカーボンクレジットのベンチマーク価格を設定することを目指している。シンガポールはまた、国際カーボンクレジット(ICC)フレームワークのもと適格国リスト、プログラムおよび手続きを公表した。これは企業に対し、炭素税の課税対象となる排出量の5%を上限に国際カーボンクレジットとの相殺を2024年から認めるものである。

    国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、シンガポール政府およびシンガポールを拠点とする機関・組織が、アジア太平洋地域内外でグリーン移行を支援し加速させる新たなイニシアチブを発表した。詳細についてはこちら

主力産業一覧

主力産業一覧
  • 「未来の航空宇宙都市」と呼ばれるシンガポールは、130社を超える航空宇宙業界の企業を擁し、アジア最大級で最も多様なエコシステムを誇ります。一流企業や宇宙産業スタートアップ企業をはじめとして成長を続ける企業が拠点を置いています。

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  • シンガポールは、アジア市場への玄関口であり、世界トップクラスの消費者向け企業の多くが、環太平洋の拠点としてシンガポールを活用しています。

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  • シンガポールは、東西のクリエイティブカルチャーが交差する場所であり、拡大を続けるこの地域の消費者基盤へ向けて開かれた扉でもあります。世界的ブランドが、地域統括会社を構えており、トップクラスのクリエイティブな企業がシンガポールを拠点としています。

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  • 今日、主要なガジェットにはシンガポール製の部品が使用されています。エレクトロニクス産業の一流企業は、シンガポールで未来を設計しています。

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  • 精製、オレフィン製造、化学製品製造、ビジネスと革新力が強力に融合するシンガポールは、世界最先端のエネルギーと化学産業のハブに数えられています。100社を超えるグローバル化学企業が主要な事業を当地に構えています。

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  • アジアのデジタルの中心都市として、シンガポールは情報通信技術 (ICT) 企業が選ぶ拠点となっています。世界クラスのインフラ、人材、活気のあるパートナーのエコシステムを提供しています。一流企業と連携して、最先端の技術とソリューションを開発し、シンガポールのビジョンであるスマートネーションと地域および世界の市場を支えています。

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  • アジアの流通のハブとして、当地域内外への世界クラスのコネクティビティを提供します。安全で効率的なロジスティクスと、サプライチェーン管理ハブとしての妥当性を以て、シンガポールは地域の境界を超えた取引と消費に貢献しています。

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  • シンガポールは、医療技術企業がこの地域で成長するための戦略的な拠点です。今日、多くの多国籍医療技術企業がシンガポールを拠点として、地域本社機能や製造、研究開発を行なっています。

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  • 資源豊かなアジアの中心に位置するシンガポールは、農産物、金属、鉱物のグローバルハブです。我が国のビジネス環境は、強力な金融、サプライチェーン管理、技術力を以て、世界をリードする企業を引き付けています。

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  • シンガポールは、アジアでも主要な石油 ・ ガス (O&G) 装置とサービスのハブであり、3,000社を超える海洋・オフショアエンジニアリング (M&OE) の会社があります。世界クラスの機能と優れたコネクティビティは、アジアの強力な成長の可能性に着目する多くの企業をシンガポールに誘引しています。

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  • シンガポールが有する優れた人材、強い生産能力、研究開発のエコシステムは、製薬やバイオテクノロジー企業を誘引しています。企業はシンガポールから世界中の人々に薬を提供し、アジア市場の成長を担っています。

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  • シンガポールの洗練された精密工学(PE)の能力と先進の製造技術で主要分野である高度な製造な地域ハブとしての強みを反映しています。

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  • シンガポールは、プロフェッショナル・サービス企業に最適なハブであり、国際的な労働力と信頼できる規制と枠組みを提供します。

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  • アジアは世界的な都市化のメガトレンドの中心であり、人口集中や公害、環境悪化などの都市問題の軽減を目指して、各国政府はスマートで持続可能なソリューションの開発を推進しています。大企業のいくつかはシンガポールを拠点として、アジアのために持続可能なソリューションを商業化すべく、革新、試行、連携を進めています。

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