1. 経済戦略見直しの最終提言まとまる
シンガポール政府が主導する「経済戦略見直し(ESR)」委員会は最終提言をまとめた。3つの戦略的命題と8つの具体的な推進軸を指針として、シンガポールが今後の課題にどう対応し、適応し、機会を掴むべきかを示している。
シンガポールの強みと競争力を維持する「価値提案」、政労使が共に迅速、柔軟に立ち回り、新たなことに挑戦する「機動性と適応力」、地政学的リスクなど制御できない事態にどう対応するかの「レジリエンス(強靭性)」を3つの命題と位置付けた。
このために、労働者向けには、AI時代の良質な雇用確保、早期の転職・再就職支援、生涯学習の充実を掲げ、新たに「スキル・労働力開発庁(SWDA)」の設立も盛り込まれた。企業向けには、AI活用でのハブ機能の強化、スタートアップ支援、サプライチェーンの強靭化などを推進する。政府・企業・労働組合が緊密に連携し、変化する世界でもシンガポールの競争力と雇用創出力を維持することを目指している。
2. ENEOS、シェブロン製油所事業取得へ
ENEOSは米シェブロンから、シンガポール製油所50%の持ち分を含む東南アジア・オーストラリアの下流事業の買収を発表した。取引総額は約3360億円。
シェブロンのシンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリアの燃料油と潤滑油販売を行う法人の持ち分100%を取得する。
ENEOSによると、東南アジアでは今後石油需要拡大が見込まれる。コスト競争力に優れた輸出型製油所と下流の燃料油・潤滑油事業を取得することで、域内成長機会を取り込み、日本にとって重要な輸出市場であるオーストラリアでのトレーディング強化も目指す。2027年中の株式取得完了を予定している。
3. NTTデータと科学技術庁、人工知能(AI)活用で提携
NTTデータとシンガポール内務省傘下の科学技術庁(HTX)は、AIを活用した公共安全・デジタルフォレンジック能力の強化で提携する。重点領域は、省エネ型フォトニクス技術を活用した先端ネットワーク、クラウド型デジタルフォレンジックラボの構築を含むサイバーセキュリティ対策、脱炭素化に向けたサステナビリティ推進、そしてAIによる業務最適化の4分野。2025年にシンガポールで9億1,300万シンガポールドルを超えた詐欺被害への対応も念頭に置き、デジタル犯罪の早期検知・捜査の迅速化を目指す。両者の協力を通じ、シンガポールのデジタル安全保障の強化が期待される。
4. HOYA、EUVブランクス製造能力拡張へ
HOYAはシンガポールのEUVブランクス生産設備を総額約420億円を投じて拡張すると発表した。2026年度からシンガポールの同社工場敷地内に新棟増設を開始し、28年度に量産開始予定だ。
5. ロート製薬、ユーヤンサン買収でアジア事業好調
ロート製薬が発表した3月期決算は前期比11.4%増の3437億2500万円と営業利益7.5%増の411億1800万円と、増収増益を達成した。特に2024年に三井物産と共同で買収したシンガポールの老舗漢方薬製造販売企業ユーヤンサン(余仁生)決算を今期から連結化したことが大きく寄与したという。3月からは日本でもユーヤンサンの漢方サプリやツバメの巣などを発売開始している。
6. PwC、貿易助言ハブを開所
大手会計事務所PwCはEDBの支援を受け、国内外の顧客企業に国際貿易についての助言と成長を支援する「Trade Advisory Hub」を開所した。企業が刻々と変化する国際貿易情勢に対応し、事業やサプライチェーンへの影響を分析して、域内事業の変革や成長のための決定を支援する。
PwCは今後3年にわたり400万シンガポールドルを専門職育成、革新的ツールや資産取得、貿易や海外事業を行う企業の支援に充てる予定。
7. 東洋エンジニアリング、Asterプラント改造事業受注
東洋エンジニアリングは、シンガポールのエネルギー企業Aster Chemicals and Energyのブコム島エチレンプラント改造事業2件を受注した。
プラントは東洋エンジニアリングが建設したもの。Asterの輸出能力倍増計画に沿いエチレン冷却ユニットの改造業務を受注。もう1件はAster関連企業から同プラントのガスタービンユニット統合プロジェクトの基本設計(FEED)業務だ。
8. 京元電子、半導体テスト施設正式開所
台湾の半導体後工程大手京元電子(KYEC)は北東部アンモキオに新たな半導体テスト施設を正式に開所した。チップ・プローブ(CP)、ファイナル・テスト(FT)、バーン・イン(BI)、システム・レベル・テスト(SLT)の各機能を完備し、東南アジアでの自動車、高性能AI製品、3C(コンピュータ・通信・民生電子機器)向け半導体テストの需要拡大に対応する。総投資額は約1億シンガポールドル。
9.リコー、マルチメディア配信ソリューション企業買収
リコーは、アジア太平洋地域でオーディオビジュアル(AV)を含むマルチメディア配信ソリューション(業務用音響・映像・情報通信システム)を提供するシンガポールのGlobal Vision Multimedia Groupの買収を発表した。
Global Vision Multimedia Groupは、映像音響(AV)およびビデオ会議システムを専門とする企業で、アジア太平洋地域を中心に事業を展開している。設計コンサルティング、施工管理、制御プログラム、音響調整、保守まで一貫したサービスを提供しており、同地域における豊富な導入実績を持つ。
リコーは、世界拠点をつなぐリモート会議に対応した会議室システムやハイブリッドワークソリューション提供のため、グローバル投資を継続している。
10. 浜松ホトニクス、現地法人設立
光関連電子機器製造販売の浜松ホトニクスは、シンガポールに現地法人を設立した。2026年10月に開業予定。
これまで欧米の現地法人を介した販売・物流体制だったが、新拠点を設立し、販売・物流のハブ機能を確立することで、コスト競争力強化やリードタイム短縮を目指す。東南アジアでの市場拡大と顧客ニーズの高度化に対応する。将来的には域内市場の成長に応じて機能を拡張する。