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シンガポール予算2026―日本企業への主要な影響と機会

シンガポール予算2026―日本企業への主要な影響と機会

ローレンス・ウォン首相兼財務相は2月、2026年度予算案を発表した。日本企業にとってもシンガポールでの事業戦略を見直し、新たな成長機会を捉える重要な契機となる。特に人工知能(AI)活用、人材確保、持続可能性への対応が今後の競争力を左右する要因となることが見込まれる。

Singapore skyline featuring Marina Bay Sands, surrounding skyscrapers, and the waterfront.
AI戦略による新たなビジネス機会

シンガポールのローレンス・ウォン首相は2026年予算案で、AIを戦略的優位性として活用する方針を打ち出した。

これに先立ちシンガポール貿易産業省(MTI)は2月10日、2025年の通年国内総生産(GDP)成長率は5.0%と発表している。特に製造業の成長率が8.7%と、前年の3.8%から大きく伸びた。人工知能(AI)の浸透による半導体、サーバーとその関連製品の需要が急増したことで、エレクトロニクス分野の伸びが著しかった。

シンガポール経済開発庁(EDB)もAIを成長分野の1つと位置づけ、付加価値の高い投資を誘致している。

政府は、ウォン首相が議長を務める国家AI評議会(National AI Council)を新設し、国全体でAI戦略の方向性を示す予定だ。

まず、先端製造業、物流・港湾・貿易などのコネクティビティ、金融、ヘルスケアの4分野へのAI導入による変革に重点を置く。対象となる業界の企業は、政府が提供するデータセット、コンピューティングリソース、規制サンドボックス(仮想環境)を活用し、開発から導入まで、または試験運用から大規模実用化までの時間を短縮できる。

また、新プログラム「Champions of AI」では、AIを活用して事業全体を変革する意欲のある企業に対し、企業変革と人材育成の両面でオーダーメイドの支援を提供する。
 

税制・助成金制度の拡充

企業イノベーション制度(Enterprise Innovation Scheme 、EIS)
条件を満たしたAI関連支出に対する400%税額控除が新設される。年間5万シンガポールドルまでの支出を対象とし、研究開発(R&D) 、イノベーション、人材育成などの既存項目も継続される。
 


法人所得税還付

2025年の経済は好調だったが、コスト圧力や業務上の困難に直面している企業もあった。そこで、企業競争力維持のため、賦課年度2026年の法人所得税の40%を還付する。また、地元人材を最低1人雇用した営業中企業は最低でも1500ドル、上限3万ドルの給付を受ける。これらの措置は短期的なもので、今後も構造改革や変革を続ける。
 

労働ビザ規定の変更

シンガポールは、SkillsFutureプログラムを通じた国内労働力の技能向上支援を継続しながら、経済を強化するグローバル技能と人材に対して開放的な姿勢を維持する。バランスの取れたアプローチを確保するため、外国人労働者政策は変化する状況を反映して改良・更新される。企業は調整のための時間が与えられる。
新規申請では2027年1月から、更新申請では2028年1月から、就労ビザ(EP)の最低給与が5600ドルから6000ドル(金融業界では6200ドルから6600ドル)にそれぞれ引き上げられる。Sパスも3300ドルから3600ドル(金融業界では3800ドルから4000ドル)に引き上げられる。
 

企業エコシステムの強化

StartupSG Equity制度 では、政府が有望なスタートアップへの民間資本を呼び込むために、初期資金を提供するアーリーステージでの資金調達に注力している。これに10億ドルを追加配分し、対象を成長段階企業にも拡大する。特にディープテックに重点を置く。

また、EDBはこれまで、多国籍企業からの投資誘致に重点を置いてきたが、今後は将来業界をけん引する可能性を持つ海外の高成長企業の誘致により一層力を入れていく。

この包括的アプローチで、企業エコシステムを強化する。
 

シンガポールへの事業進出やビジネス拡張へのサポートについては、EDBまでお問い合わせください。

お問い合わせ | Singapore EDB

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