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シンガポールと共に伸びる -事業拡大を遂げた製造、研究開発、テクノロジー分野のグローバル企業5社(Part 1)

シンガポールと共に伸びる -事業拡大を遂げた製造、研究開発、テクノロジー分野のグローバル企業5社(Part 1)

明電舎、フエスト、VDL ETG、アクセンチュア、HP は、ドイツや日本などさまざまな国にルーツを持ち、1970年代から50年以上にわたり、シンガポールで事業を展開してきた。


Four-image collage showing a MEIDEN opening ceremony, exterior of a MEIDEN facility, an industrial control room, and a water treatment plant with tanks and piping.

左上から時計回り:Meiden Singaporeの配電変圧器工場開所(1979年)/電力変圧器工場開所(2006年)/PUB Jurong Water Reclamation Plantでの産業廃水リサイクル向けセラミック膜分離活性汚泥の実証実験(2014年)/ジュロン島の電力網実験センター建設現場(2011年)

明電舎のシンガポール50年の軌跡-電力システム開発から持続可能性ソリューションまで

Meiden Singaporeは1975年、明電舎の製造・エンジニアリング・研究開発拠点として設立した。明電舎は当時、技能と生産性が向上しつつあるシンガポールの労働力の活用を目的に、電力用変圧器の保守事業を開始した。1987年までにMeiden SingaporeはMRT南北線と東西線の電力システムで中核的な役割を担うようになり、シンガポールから域内に展開する基盤を築いた。

Meiden Singaporeはその後、クアラルンプールやバンコク、マニラ、香港、ドバイの公共交通機関システム構築に携わった。地元出身のエンジニア専門職を派遣し、公共交通機関システム新設のための電力変圧器やスイッチギアを海外に供給した。
 

シンガポールの長期的視野に立ったインフラ政策は、私たちがイノベーションを
起こし、能力を発揮するのに最適な環境を提供してくれました。
ここで成し得たことにより、東南アジア、
そして世界への扉を開くことができると確信しました。

石飛啓明(いしとび・ひろあき)

取締役社長

Meiden Singapore


Meiden Singaporeは2011年、再生可能エネルギーソリューションのパイオニアとして、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)と共同でジュロン島にシンガポール初の実験用マイクログリッド(小規模電力網)を建設した。公益事業庁(PUB)の ジュロン水再生プラントでは、独自のセラミック膜分離活性汚泥(MBR)技術を用いた産業廃水リサイクルの実証実験も行っている。  

同社の地元人材育成への取り組みは、タン・オーブーン氏のような従業員に象徴されている。1990年代初頭にプロジェクトエンジニアとして入社したタン氏は、現在エンジニアリングディレクターとなり、現在はMeiden Singaporeの主要事業の一つ、変電設備の納入・設置・試験・保守を管理している。  

他にも、Meiden Singaporeはシンガポール工科大学(SIT)、陸上交通庁(LTA)と連携し、シンガポールの次世代電力システムエンジニアの育成に積極的に取り組んでいる。 2025年第4四半期にはプンゴル・デジタル地区(PDD)内にあるシンガポール工科大(SIT)プンゴル・キャンパスに電力システムラボを開設した。学部生とLTA職員を対象に、鉄道電力供給システムの運用・保守に関する研修を行う。  

Meiden Singaporeは、シンガポールの透明性の高いビジネス環境と堅固な研究エコシステムを基盤に、多様な国籍を持つ300人の従業員と共に成長を続けている。 
 

フエスト、45年の歩み -次世代の製造自動化を支える人材を育成

ドイツのオートメーション企業フエスト(Festo)は、1925年に同族経営企業として創業し、2025年には創業100周年とシンガポール進出45周年を共に迎えた。

フエストは1980年、シンガポールの安定性の高さと事業を行いやすい環境が、単なる事業拡大のための戦略拠点以上の可能性を秘めているとの認識を得て、東南アジア・太平洋地域の統括本部を設立した。 

フエストのジュロンのシンガポール拠点では、オートメーション技術を展示し、顧客との交流の場としても機能する最新鋭の施設「Festo Experience Centre」を設けている。域内顧客への迅速な配送を可能にするための倉庫も設置されている。  
 

シンガポールの利便性の高い立地と熟練した人材基盤は、当社の効果的な地域市場の運営に重要な役割を果たしてきました。

Jörg Menner

Head of Sales Cluster Southeast Asia & Pacific

フエスト


シンガポールでのフエストの歩みの核心として特筆すべき点に、技術教育部門「Festo Didactic」を通じた人材育成の取り組みがある。 
 

Students in a lab examining training equipment and a classroom of students working at computers with industrial panels.

左:Festo Didactic初期のイベント参加者。右:Festo Didacticの技術サポートワークショップ。

Festo Didacticは、学校教育と産業界のニーズのギャップを埋める重要な役割を果たし、2000年以降シンガポールで3000人以上の専門職を育成してきた。フエストはミュンヘン工科大アジア校(TUM Asia)やSkillsFuture Singaporeといった機関と提携し、シンガポール初の先端デジタル製造専門ディプロマ「Specialist Diploma in Advanced Digital Manufacturing」を開講した。受講者は修了後、高度デジタル製造業とインダストリー4.0に関する実践的な体験型の知識を身につける。 

現在、Festo Singaporeは117人の高度人材を擁し、各業界をデジタル化するとともに、製造業の将来を支える国内人材の育成を推進している。 
 

55年成長を続けるVDL ETG -家電部品から半導体精密ツールまで
 
Aerial view of a modern industrial building labeled “VDL Enabling Technologies Group,” with rooftop solar panels and surrounding greenery.

2025年6月開所のVDL ETG Singapore新社屋。、オフィス、倉庫・物流スペース、クリーンルーム製造施設を併設した面積は、2万平方メートルにおよぶ。

VDL Enabling Technologies Group(VDL ETG)Singaporeは、1970年にPhilips Machine Factoryとして設立、親会社のフィリップス製品向けの部品を製造していた。その後、ハイテク設備に注力することで発展し、2006年にグローバル企業VDLグループの一員となり、事業の大きな節目を迎えた。

現在、VDLのシンガポール事業はアジア最大、収益ベースで世界3位の規模を誇り、世界有数の半導体装置メーカーに基幹モジュールを供給している。
 

シンガポールの包括的な半導体エコシステム、
グローバルサプライチェーンへの利便性、優秀な人材は、
世界の顧客に対応する当社の能力を支える重要な要因となっています。

チャム・シンチュン

マネージングディレクター

VDL ETG Singapore


VDL ETG Singaporeは2025年6月、新施設SQ1を開設した。2万平方メートルの敷地面積を誇るこの施設は、先進的クリーンルームでの製造能力を備え、次世代の精密エンジニアリングツールや自動化システムの開発を可能にしている。さらに、今後数年で従業員数を800人から1,200人以上に拡大する同社の計画も支える。  
 


VDL ETG Singaporeは、優れた製造技術に加え、インターンシッププログラムや高等教育機関とのワークスタディプログラムを通じて、若い地元人材を積極的に育成している。従業員の技能向上も奨励されており、リーダーシップを担う機会を提供している。 

ウン・ウィーキャット氏は「SGUnited Skills Programme」を通じて職業軍人からプロジェクトマネージャーへと転身した。彼のような事例は、デジタル経済を支えるシンガポールの製造業で、高度人材の育成に対する同社の取り組みを体現している。

VDL ETGはシンガポールでの事業拡大のため、今後5年間で1億シンガポールドル(約122億円)の投資を計画している。 
 

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