シンガポールに設立する合弁会社の名称はカールスバーグ・サッポロ・アライアンス(仮称)で、出資比率はカールスバーグが75%、サッポロビールが25%。事業全体を統括する会社として、今年12月に設立する予定だ。資本金は未定。東南アジアや香港でビールを含むアルコール飲料やソフトドリンクなどの製造、販売を手がける。
具体的にはシンガポール、マレーシア、ベトナム、ラオス、カンボジア、香港の6カ国・地域で事業を展開。サッポロビールの海外向けブランド「サッポロプレミアムビール(SPB)」やカールスバーグの商品などを販売する。シンガポール、ベトナム、香港で販売するSPBはサッポロベトナム社のロンアン工場で生産する。
サッポロベトナムはこれまで製造・販売を手がけていた。今回の動きに合わせ、同社の販売・マーケティング機能を新合弁会社に移管し、製造機能は残す。
カールスバーグも今回対象となる市場で事業再編を実施し、新合弁会社に事業を移転する。
サッポロビールは今回の戦略提携を通じて、カールスバーグの販売網や事業基盤を活用してSPBの販売を拡大したい考え。今回カールスバーグと締結するライセンス契約には、SPBについて契約上合意した販売数量計画が含まれる。
カールスバーグと長期的な関与
サッポロビールとカールスバーグは、2024年からシンガポール、マレーシア、香港の3カ国・地域で販売代理店契約などの提携関係に入っていた。3カ国・地域で拡販が進んだことから、その成功を機に今回、対象地域をラオス、ベトナム、カンボジアにも拡大する。協業を通じて相互理解を深めてきた両社は、長期的な相互のコミットメント(関与)を強め事業拡大を加速させるため、シンガポールに合弁会社を設立することを決めた。
サッポロビールは、少数持ち分の出資でリスクを抑制しながら一定のガバナンス(企業統治)が確保できるバランスの取れた事業モデルを構築する。
東南アジアや香港のビール市場は今後、年率5%程度の高い成長が見込まれており、カールスバーグは同市場で高いシェアを持つ。
今後のSPBのブランド展開では、ブランドマネジメントで対等なパートナーとして意思決定を共同で行う仕組みを整備し、販売活動に主体的に関与するため、サッポロビールから人員派遣を行う。配当、ブランドロイヤルティー、製造収益の3つの構造による収益も享受する。
これまでの提携関係の収益構造は、ブランド使用料(ロイヤルティー収入)だけだった。また従来は外部委託のため現地の市場分析や運営ノウハウの蓄積も難しかった。今後は両社の戦略の方向性を合わせ、長期的に安定したリターンを確保していく。
海外市場で自社の販売網を構築する場合、多額の投資や長期的な時間を要する。市場参入に伴う不確実性も大きく、迅速な事業拡大には一定の制約がある。特に東南アジアや香港では、販売網の質と広がりが競争力を左右する重要な要素となる中、サッポロビールは市場拡大に向けて入念に検討を重ねてきた。
サッポロブランド、アジアで大きく成長
SPBはサッポロビールにとって世界市場での基軸ブランド。世界60カ国以上で展開している。日本ブランドとしての品質の高さや世界市場での一貫したブランド施策推進により、多くの地域でプレミアムカテゴリーとされ、北米だけでなく、近年はアジア地域を中心に大きく成長している。海外でのサッポロブランド(酒類)の売り上げ数量は25年度実績で1,050万ケース。26年度は1,170万ケースを見込む。
アジア太平洋地域では、カールスバーグと提携しているシンガポール、マレーシア、香港で提携前と比べてSPBの25年度の売り上げが23年比で約3倍に伸びた。
サッポロビールは今回の提携を通じて、35年までに東南アジア、香港の対象市場でSPBの販売数量を25年比で約10倍に拡大することを目指す。
サッポロビールは不動産事業の売却を段階的に進めている。売却で得た資金は国内外のビール事業強化に使う方針を掲げており、今回の動きもこの一環となる。